Autor del artículo

Takekazu Asaka
浅香武和
あさかたけかず
津田塾大学スペイン語講師、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学ガリシア語研究所外国人研究員、日本学術振興会研究員(ガリシア語)。

著書に『現代ガリシア語文法』、『ガリシア語基礎語彙集』、『ガリシア語会話練習帳』の三部作大学書林。

編著に『スペインとポルトガルのことば』同学社、編訳書に『ガリシアのうた+CD』DDP出版。


エリア・スタディーズ87 
スペインのガリシアを知るための50章

2011年02月

【編著】 坂東省次、桑原真夫、浅香武和
【発行】明石書店
【価格】2,100円(税込)
【仕様】四六判/352頁 (2011年2月刊行予定)

 この度、明石書店から刊行された『スペインのガリシアを知るための50章』について、編著者の一人として本書を紹介させていただきたい。ガリシアについて、これまで日本で発行されたものは数えるくらいしかない。ただ、サンティアゴ巡礼については、近年ブームと相まって多くの書や写真集が発行されているようだ。

 明石書店が発行する「・・・を知る」シリーズは、大きな書店の本棚や大学生協の書店に並んでいて外国を知るための書籍として、私にとってはいつも気になる本であった。これまで86冊が刊行されていて、それぞれの国についての歴史や社会事情を中心にまとめられている。

 エリア・スタディーズ87として刊行された本書は、スペインのなかのガリシアという一地方を扱った書としては最初のものである。このシリーズは、基本的には国を扱うものであったが、今回は地方を扱ったわけである。ガリシア(またはガリチア)という場所は世界にスペインとウクライナからポーランドにまたがる地域(旧ハプスブルグ帝国領)の二ヶ所存在する。スペインのガリシアは、ケルト文化の影響を受け、固有の言語であるガリシア語が使われている特異な興味ある地域である。中世紀にはカイテイーガスと呼ばれる抒情詩が花開いた。1250年頃に認められたマルティン・ゴダックスの詩は単旋律の楽譜をともなった柔らかな美しい調べである。

 私は1980年代から少数言語として日の目を見ないガリシア語の研究を始めさまざまな視野から分析を行っている。ガリシア語は、これまでスペイン語の方言とされていたが、1977年制定のスペイン憲法には、ガリシア語はガリシア自治州の公用語と規定された。現在、ガリシアの人口270万人のうち150万人ほどが常に使用している。日本では、サンティアゴ巡礼路について、カミーノ・デ・サンティアゴ友の会もあり少しは知られているようですが、それ以外は殆ど知られていないのが現状である。このたび多くの賛同者を得て本書を上梓することができたことは、日本の読者にガリシアの全てを知っていただける機会であり、この上ない喜びである。

 本書の構成は、総論第一章「ガリシアとは」から始まり、第II部 歴史、第III部 宗教と巡礼、第IV部 文化と生活、第V部 言語と文学、第VI部 政治と経済の50章から成る。各章2,400字程度で執筆者がコンパクトに記し、関連写真を一葉入れた。このほかにコラムとして、ガリシアに滞在あるいは旅行した人が1,200字ほどで記した珠玉のエッセイが20編ある。これがなかなかガリシアを惹きつけるものである。参考文献にはガリシアで刊行されている一般書や専門書をあげた。最後にガリシア関連の年表を付けてケルト時代から現在までをうかがい知ることができる。 

浅香武和