Autor del artículo

Keishi Yasuda
安田 圭史  やすだけいし
1977年山口県出身。龍谷大学経済学部専任講師。
日本・スペイン・ラテンアメリカ学会(CANELA)理事。
専攻はスペイン現代史。
著書に『インターネット対応学習プログラム付き スペイン語技能検定5級直前対策問題』(共著、南雲堂フェニックス)、『スペイン文化事典』(共著、丸善)、Japón y la Península Ibérica: cinco siglos de encuentros(共著、Satori Ediciones)など。

cazuela

TANKA ―最も日本的なスペインワイン―

2011年11月

 2011年3月初め、スペイン内陸部、ラ・リオハ州のあるワイン醸造所を訪れた。この醸造所は、州都のログローニョから西へ40キロのところに位置する人口約230人の小さな村、コルドビンにあり、1992年から本格的な営業を始めている。創業者の名前から「フロレンティーノ・マルティネスワイナリー」(Bodega Florentino Martínez)と名付けられたこのワイン醸造所は、近年他の多くのライバルとは一線を画する取り組みにより、スペイン内外から注目を浴びている。日本の俳句、そしてスペイン語と日本語の音声的な類似に関心を持っていたオーナーのルイス・ミゲル・マルティネス氏が中心となり、2004年に赤ワイン、その名も「Tanka」(タンカ)を発売したのを皮切りに、これまで2度、スペイン語による「俳句コンクール」を開催し好評を博しているからである。

 「Tanka」は、2005年物が2010年5月、スペインのバリャドリードで開催された権威ある国際ワイン品評会として知られる「Iberwine」の第11回大会で金賞を受賞し、すでに世界的に高い評価を受けている。また、同じく2010年に開かれた第2回「俳句コンクール」には、実に800人以上が参加し、1300以上の俳句が寄せられた。参加者の国籍は様々であり、スペイン語圏(スペイン、キューバ、メキシコ、ベネズエラ、チリ、アルゼンチン、コロンビア、ウルグアイ、ペルーなど)からはもちろん、それ以外の国々(アメリカ合衆国、ポーランド、ベルギー、イタリアなど)からも多数の応募があった。2010年5月に行われた第2回コンクールの表彰式には、ラ・リオハ州知事のペドロ・サンス氏や駐スペイン日本大使の高橋文明氏も招かれ、「Tanka」と「俳句コンクール」がスペインと日本の交流に少なからず寄与していることを印象付けた。

 ちなみに第2回コンクールで優勝した俳句は、 スサナ・ベネト・ファヨス氏の“En el silencio fresco de la bodega, se oye un goteo”「酒蔵や滴しずかに聞こえけり」(拙訳)であった。日本語の俳句さながらに読者の想像力を掻き立てるものである。オーナーによると、2012年中には第3回「俳句コンクール」が開催される予定だという。加えてオーナーは「Tanka」を近い将来、必ず日本でも売り出したいと語っていた。それが実現すれば日西交流は、年月とともに熟成していくワインのように、さらに深みを持つことは間違いないであろう。

文 龍谷大学専任講師 安田圭史


参考:フロレンティーノ・マルティネスワイナリー
www.florentinomartinez.com


「Tanka」2005年物の表ラベル



ワイナリー正面玄関前で関係者と撮影
中央の男性がオーナーのルイス・ミゲル・マルティネス氏



Tanka」2005年物の裏ラベル
第2回「俳句コンクール」の優勝作品が記載されている