Autor del artículo

Kazuko Takagi
高木和子
たかぎかずこ
有限会社インタースペイン代表取締役 ビジネススペイン語インストラクター セルバンテス文化センター通訳養成コース講師 グロービス経営大学大学院MBA


実践!ビジネススペイン語 ハンドブック
【著者】 高木和子
【監修】 坂東省次
【出版社】 インタースペイン・ブックサービス 
【定価】 2,940円(税込)
【ISBN】 9784990576615

新刊書籍のご紹介

2012年11月

【たくさんの可能性を秘めた成長言語 スペイン語】

 旅行、歴史、サッカー、音楽、料理などいろいろなモチベーションでスペイン語を学び始めた方がいらっしゃると思います。

 実は「経済・ビジネス」の領域はまだまだ奥が深く、そして、これから更に伸びていく分野だと考えられます。BRICsやNEXT11というキーワードでお馴染みの「新興国」の中には、今後大きな経済発展の見込まれるスペイン語を話す国が含まれています。スペイン語は、たくさんの可能性を秘めたこれから成長する言語だと言えます。

 この度、京都外国語大学坂東先生とFINA先生のご協力を賜り、「実践!ビジネススペイン語ハンドブック」を上梓させていただきました。スペイン語を今までの私的な領域の趣味の言語から、公的なオフィス・仕事の場で使える言語への転換をしたいと考えている学習者の方に気軽に手にとっていただける、徹底的に「実践的な」ハンドブックです。


【スペイン語をツールとして使いたいというモチベーション】

 「スペイン語でかかってくる電話に対応するのが難しいので、週末に参考書を書店で探してみたのですが適当なものがみつからなかったのです…」

 このハンドブックの執筆は、新人スタッフYさんのこの一言から始まりました。日本でも有数の外国語大学のスペイン語学科でみっちり4年間スペイン語を学び、留学も経験し、優秀な成績で卒業したYさん。文法・語彙ともに上級レベルのスキルを持っているにもかかわらず、スペイン語でかかってくる電話やスペイン語でのメール作成に四苦八苦しています。Yさんにとってスペイン語は学問の対象であり、何か目的を遂行するためのツールではなかったのです。そこに戸惑いが生じるのも無理はありません。

 Yさんの姿は、1990年初頭にマドリードの邦銀駐在員事務所で働き始めたときの私自身の姿と重なります。

   当時の私のスペイン語力は、仕事で使えるレベルには到底達しておらず、毎日オフィスの電話が鳴るたびに憂鬱な気分になっていました。そんな姿をみかねたスペイン人の同僚が、電話応対の決まり文句の一覧表を作ってくれたり、レターのひな形を作ってくれたり、あれこれと手助けをしてくれて、ようやく独り立ちができたのです。

 以来、私は20年以上にわたってスペイン語をビジネスのツールとして使用してきました。Yさんの一言にヒントを得て、その「経験」を一度棚卸しし、整理してみようと考えました。そうすることで、Yさんのようにスペイン語をある程度マスターした学習者が、いざスペイン語で何か目的を遂行したいと考えたときに役立つような「知恵」に転換できるのではと考えました。


【スペイン語という言語で市場を捉える】

 共通の言語を使用する集団を同じ言語で結ばれた「一つの商圏」と見なす考え方からスペイン語を見てみましょう。

 2011年にギャラップ社がEU地域内のネットユーザーに対して行った調査によると、回答者の44%はネットショッピングをする際に、母語でのサイトが無いために購買機会や意欲を失っていると答えています。

「自分の母語で商品やサービスを正しく理解できる」、あるいは「自分の母語で気持ちを伝え理解してもらえる」ということは、消費者にとって一つの価値(valor)となります。それはつまり、企業にとっては収益の源泉となるといえます。

 そのような視点でスペイン語圏4億5千万人を一つの市場と捉えるといままで見えていなかったスペイン語の可能性が見えてくるのではないでしょうか。

高木和子