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『ジャック白井と国際旅団 スペイン内戦を戦った日本人』

2013年11月

【著者】 川成洋 著
【出版社】 中央公論新社
【定価】 860円(税込)
【ISBN】 9784122058514

 1930年代、ファシズムとコミュニズムが台頭し、世界は不穏な方向へと進んでいた。スペイン国内では前世紀から政治不安が続き、人々は、体制が極端に入れ換わる大きな振れ幅のなかに生きていた。

 そして1936年、フランコ率いる陸軍のクーデターにより、ついに内戦が勃発。共和国の窮状が国外に伝えられると、「スペインを救え!」を合言葉に、有志による国際旅団が結成された。参加した義勇兵は、実に55カ国から4万人を数える。スペイン内戦は、軍事的にも思想的にも第二次大戦の前哨戦といわれるが、おそらく、「理想」を信じて銃をとることができた最後の戦争でもあった。

 本書は、スペイン内戦に義勇兵として参加した唯一の日本人、ジャック白井を軸に、泥沼化していく内戦の諸相を容赦なく描き出す。著者は、長年かけて積み上げた取材をもとに、無名で終わるかもしれなかった、いわば根なし草的人物の生に光をあてているが、それは、その他多くの名もなき義勇兵の生をも私たちに喚起させ、本書に奥行きを与えている。

 「ジャック白井」はどこから来たのか?なぜ、アメリカで国際義勇兵になったのか?そして、その短い命が燃え尽きたスペイン内戦とは何だったのか ―― 。

 著者がライフワークとして情熱を傾けた、臨場感あふれるノンフィクション。スペイン内戦の理解にも役立つ、お薦めの一冊だ。

評者 下山静香