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Autor del artículo

Yuji Shinoda
篠田有史
しのだゆうじ
1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。
24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。

【写真展】 スペインの小さな町で(冨士フォトサロン)、遠い微笑・ニカラグア (〃)など。

【本】 「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社) 「リゴベルタの村」(講談社)などの写真を担当。

cazuela

エコ・エスパーニャ(その4)
「ヒメチョウゲンボウよ、ふたたび」

2013年11月

 かつてその鳥はスペイン中の空を飛びまわっていた。ホバリングができ、上空から小動物を見つけると急降下して捕え、エサにしていた。鳥の名はセルニカロ・プリミージャ - Cernícalo Primilla - (日本名:ヒメチョウゲンボウ)、ハヤブサ科の猛禽類である。

 スペインのどこにでも見られたこの鳥は、20世紀半ばから、急激にその数を減らし絶滅が危惧された。原因は、農薬や化学肥料が大量に使われ、彼らのエサであるネズミや昆虫が少なくなったことにあった。鳥を愛する人たちは、スペイン各地で保護と繁殖活動をはじめた。

 ヒメチョウゲンボウは、ヨーロッパと北アフリカの間を移動する渡り鳥で、春ヨーロッパへやってきて、農家の軒、教会の塔などで産卵、子育てをし、秋にアフリカ大陸へ戻っていく。ハトとおなじくらいの大きさで、ギィギィと啼く。

 スペイン中西部、エストレマドゥーラ州アルメンドラレホスの町に、繁殖に取り組むNGOがある。円形の小屋で、ヒメチョウゲンボウを飼育し、産卵、孵化を見守っている。しかし、孵化する確率が低いので、10日ほど親鳥に温めさせたあと、取り出し孵化器に入れる。孵化が近づくと、一つひとつの卵を光に当てて中の状態をチェック。孵化間近の卵は別の容器に移し、孵化を見守る。そして、孵化した直後から、ピンセットでエサの肉片を与える。孵化から6日後、元の巣箱に戻し、親鳥たちにまかせる。24日後、畑に設置した出入り自由のカゴの中で生活させ、自ら飛び立っていくのを待つ。

 その他、NGOスタッフたちは教会の屋根などに巣箱を設置し監視カメラで観察したり、ケガをした鳥の治療をしたりして、昔のようにたくさんのヒメチョウゲンボウが再びスペインの空を飛びまわれるよう、地道な活動をつづけている。

文・写真  篠田有史



孵化間近の卵をチェックする



孵化したヒナに肉片を与える



円形の小屋の周りは廊下になっていて、
鳥に見られずに観察ができるよう工夫されている



ヒメチョウゲンボウのつがい。左がオス



孵化器に入れられた卵