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Autor del artículo

Yuji Shinoda
篠田有史
しのだゆうじ
1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。
24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。

【写真展】 スペインの小さな町で(冨士フォトサロン)、遠い微笑・ニカラグア (〃)など。

【本】 「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社) 「リゴベルタの村」(講談社)などの写真を担当。

cazuela

エコ・エスパーニャ(その5)
「コルク」

2014年02月

 スペイン南西部からボルトガルにかけ、デエサ(Dehesa)と呼ばれる森が広がっている。そこには、樫の木が繁り、羊や山羊や豚などの家畜がその実を食んでいる。この樫の実を食べた豚が、イベリコ豚である。この森で生まれる、忘れてはいけないものがもうひとつある。それは、コルクである。

 ワインに欠かせないコルク栓はコルク樫の皮から作られる。工程は、樫の木から、木を傷めないように皮だけを剥がし、1時間、丸みを取るために煮たあと、10~15日間、室内で乾燥させる。乾燥後は、コルク栓の長さの幅で皮を切断。それをコルク栓の形に機械を使って打ち抜くのである。機械は進化しているが、製造法は古くからそんなには変わっていない。打ち抜かれたコルクは、磨かれ、選別され、ワインメーカーの印が押されコルク栓ができあがる。

 あるコルク栓工場を訪ねた。広い工場に、パンパンという音が絶え間なく響く。圧縮空気を使ってコルク栓を打ち抜く時の音だ。数人の職人が、切断されたコルクの皮を操りながら、できるだけ無駄のないようにコルクを打ち抜いていく。この速さは職人ワザだ。打ち抜くワザにも驚くが、選別のワザにはもっと驚いた。打ち抜かれたコルクには、天然ゆえに細かい穴が空いている。その穴の数や大きさで選別するのだが、それをするのはドイツ製のセンサーを搭載した機械である。機械はそれを、4つの品質に分け、この会社では、ひとがそれをさらに8つに分けている。もちろん、穴が少ないものが良質である。良質のものは良いワインに使われる。味が分からなくても、コルク栓を見れば、ある程度はワインの良し悪しを見分けることはできるそう だ。なお、打ち抜かれて余った切れ端は、砕いて固め、シャンパンの栓などになる。

 最近は、スクリュー栓が出回り始めている。スクリュー栓の方が酸化防止には良いとか、空気が通らなくても熟成するとかいわれているが、やはりワインにはコルクがよく似合う。なによりコルクはエコである。

文・写真  篠田有史



皮を剥がれたコルク樫、10年ほどで元に戻る。



コルク栓の長さに合わせて切断。



センサーを使った最新式の選別機。



コルク栓の形に打ち抜く。



できあがった様々なコルク栓。



スペイン南西部・エストレマドゥーラ地方に広がるDehesaの森。