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INAXライブミュージアム10周年特別展『つくるガウディ』Making GAUDI
INAXライブミュージアム

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撮影:梶原 敏英

 

第1会場「つくるガウディ─塗る・張る・飾る!」

 

基礎の鉄筋組み立て

今回、特別展で制作するのは、ガウディが10年間の逆さ吊り実験で建築構造を導き出しながら、地下聖堂だけの建設となった「コロニア・グエル教会(1914)」の上部。建築家・日置拓人さんが、ガウディの残したスケッチや実験資料などから構造体を設計しました。スケールは4分の1。ガウディがレンガを積もうと考えていたのに対し、今回は鉄筋と金具の基礎。それが塗り壁やタイルで装飾され、ガウディとはまったく異なる造形が展示室に広がっています。

タイルの制作

タイル職人の白石普さんが張るタイルはすべて、今回のために作られたオリジナル。白石さんが自分の工房で作った試作品をもとに、INAXライブミュージアム内にある「ものづくり工房」で量産しました。最初に作ったタイルは2つの形。コバルトと酸化銅の配合の違いで、7つのカラーバリエーションを作ります。さらに釉薬を表と裏に付け分けることで、2倍のタイルの種類ができました。

左官作業

土などの材料をすべて用意して来た久住さんは、現場を見ると、予定していた外壁の色を変更。急きょ、トラックで土を買いに走りました。「土・どろんこ館の版築の壁のような色を考えていたけれど、日本らしさを出しながらタイルを活かす、ちょっとくすんだ白色にしようかなと。その時、いちばん良いと思った仕事をしたいじゃないですか。ライブミュージアムは自由な場所やから」と、久住さん。

 


田中裕也 カサ・ミラ 側面図

 

第2会場「つくるガウディ─実測で読み解く」
実測家・田中裕也

ガウディ・ショック

初めてサグラダ・ファミリアを見た時、感動というより、打ちのめされた。カルチャーショックでした。もう建築やめようと思ったほど。でも、その後何年たっても、ガウディが頭から抜けない。ならば、この最大級におかしな建築を追求してみようと、スペインに渡りました。

階段から始まった実測

現地に行ったものの言葉もわからない。しばらくはグエル公園に毎日通って、階段に座って悩んでいました。まあしょうがない、測ることくらいならできるかなと、測り始めたのが、その階段。実測してスケッチして、何度も描いているうちに絵が大嫌いだったのが、その気になってきた。嫌いなことを変えてしまうくらいの面白さがありました。その後、カサ・バトリョ、カサ・ミラ、そしてサグラダ・ファミリアと実測を続けました。いつも階段から。この階段、次の階段と測っているうちに、動線や間取りが見えてきて、内部空間が立ち上がっていく。それをアイソメ図や立面図にする。階段をたどっていけば全体の空間が把握できる。偶然にして、そのやり方が正解だったのです。

実測・作図から見えてきたもの

ガウディは、内部の生活空間に細やかな工夫をしている。それも実測と作図から見えてきたことです。たとえばカサ・ミラ。どの面もすべて曲線。測るには常識を越えた建物です。そこでファサードの曲線と影のかたちを同じ時間帯でスケッチすることで建物の様子をつかみ、そこから目地と窓の関係を把握することにした。目地をたどって影のかかり具合を観察して立面図にすれば、外壁や柱の形状が見えてくる。へこんでいればより影が落ちますね。実際部屋に入ると、窓が大きいからすごく明るい。だけど影が落ちているから、やわらかい光になっている。スペインの日射は強い。ガウディは日焼けを避けるため、明るさを確保しながら焼けない仕組みを考えた。壁面の、はね出しの部分、互い違いになっているでしょう。部屋によって影の落ち方を変えるためです。サグラダ・ファミリア教会 誕生の門 断面アイソメ図 そうやって内部空間を心地よくしたのです。

装飾の真の意味とは

実測をすすめるうちに、僕はガウディの本心に気付きました。ガウディにとって装飾は単なる飾りではない。言い換えれば、そこにある装飾は取り払うことができない意味あるもの。ある物は施主のアイデンティティを指し示し、ある物は構造的な意味を持ち、ある物はその地域や歴史を物語る。きちんとしたストーリーがあって、ガウディは装飾をつけた。ガウディの建築には、単に建築論、空間論では語りきれない物語がある。僕は、その一つひとつを実測することで、ガウディが散りばめたコードを発見し、発見することで、さらに実測のパワーを得てきた。そんなふうにやり続けてきたのです。

まだ見ぬガウディ・コードを追って

ガウディは天才でしょうか。僕はそうは思わない。一人の人間として、ガウディも格闘し成長しながら作品をつくりあげた。そこにはガウディと仕事をすることを生き甲斐とする多くの職人がいた。建築は決して一人でできるものではないのですから。ガウディが建築に込めたガウディ・コード。まだまだ新しいものをみつけますよ。僕にとってガウディは、いつも傍らにいる無二の親友みたいな存在かもしれません。

 

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