スペインバスク サン・セバスティアンでおいしい生活 1
沼山香織 Numayama Kaori

フランスの国境に近い街サンセバスティアン。鮮やかな緑色の山々と 青々とした海に囲まれたこの街の魅力はなんといっても美食の文化。陽気なバスク人達とおしゃべりをしながらバルを巡ると、いつもほっぺたがおちてしまいそうな出会いがある。「食べるって幸せ、生きるって幸せ」ということをいつも思い返させてくれる。そんなこの街の魅力に引き寄せられ、世界中の料理人をはじめ多くの人がこの街を訪れる。今回ご紹介する方もその一人。現在サンセバスティアンで料理修行中の埴岡さんに話を伺いました。

 

埴岡龍顕(はにおか たつあき)
2012年の5月からサンセバスティアンに留学中。
現在、ラクンサでスペイン語を勉強しながら、
地元のバスクバルのキッチンで料理の修行をしている。
(2012年11月、記事掲載時の情報です

 

Q. 日本では何をされていたんですか?

→以前は、料理とはまったく関係ない業界で働いていました。でもどうしても「料理人になりたい」という思いが捨てられず、2年前、以前の会社を辞め、日本のレストランで修行を一から始めたんです。料理に関してはまったくの素人だったので、レストランで修行をする傍ら、料理の専門学校にも通っていました。

 

Q. 今回の留学の目的は何ですか?

→スペインの留学を考え始めたころは、スペインの料理学校に通いたいと思っていました。ただ、まだ自分のスペイン語に自身がなかったので、まずは現地で集中的にスペイン語を学ぶ必要があると思いました。なのでとりあえず、今回はサンセバスチャンの下見を兼ねて、語学研修が一番の目的でした。

 

Q. サンセバスティアンを留学先に選んだ理由は?

→昔からスペイン料理が好きで、特に”nueva cocina”(新スペイン料理)に心を奪われたんです。伝統的な料理を新しい素材や調理法でアレンジした新スペイン料理ですが、日本では情報が少なく、雑誌のバックナンバーを遡って、あらゆる記事を読んでいましたね。その中で見つけたバスク地方の記事を読んで、スペインでも星つきのレストランが集中する場所と知り、バスクに対する思いが強くなっていきました。 そしてこれも縁としかいいようがないのですが、日本でスペイン語を学んでいた時の先生に、サンセバスティアンのレストランで働いている日本人の方を紹介してもらいました。事前に日本人の知り合いができたことも、心強かったです。その先生からも、日本人の方からも、サンセバスチャンには良いスペインの語学学校があるからという後押しがあり、「ここしかない!」と思いましたね。 あとは、フランスの国境にも近いので、留学中フランスにも遊びに行けるかなと思って(笑)

 

Q. サンセバスチャンに留学する前に、スペインに来られたことはあったんですか?

→はい、ちょうど留学する1年ほど前に、スペインでタパス・ピンチョス食べ歩き旅行をしましたね。色々なスペインの地方の料理を実際に食べてみたいなと思ったので、バルセロナ、グラナダ、セビリア、マドリッド、セゴビアなどを回り、ひたすらスペイン料理を食べ倒しました。

 

 

Q. 留学して最初のころはどうでしたか?

→とにかく忙しかったですね。午前中はスペイン語の授業、最初の1~2ヶ月はほぼ毎日、授業が終わった後に、旧市街に出向いてひたすらピンチョを食べ歩きしていました。夕方から夜にかけては、ラクンサで出会った世界各国からの友達と呑みに行ったりしていました。苦労したことは、スペイン時間です。日本と違い、シエスタで日中お店が閉まる生活は、当初は随分と不便に思いましたし、夕食の時間が9時、10時というのにも、慣れるまでは時間がかかりました。日本だと寝る4時間前は美容と健康のために食べないようにしていたので(苦笑)

 

Q. 留学中、一番大変だったことは何ですか?

→一度、フランスとスペインの警察に捕まったことですね(苦笑)。とある週末、友達とフランスにあるアジアの食材スーパーに行こうと、スペインからバスに乗って いたのですが、スペインとフランスの国境を越えたところで、私たちの乗っていたバスにフランスの警察が入ってきたんです。その時たまたま、パスポートを携帯するのを忘れていて(汗)結局自分だけバスから降ろされて、フランスには行けず、フランス警察とスペイン警察に4時間くらい拘束されました。

 

Q. 留学中、楽しかったことを教えて下さい。

→8月の2週目に毎年開催される、セマナ・グランデは楽しかったですね。お祭り期間中、毎日花火があがり、町のいたるところで、色々なイベントやお祭りが開催されていて、日本では経験したことのない貴重な経験でした。そのあとも、9月には世界的に有名なサンセバスティアン国際映画祭もあり、各国スターがこの街を訪れたり。本当に夏はイベントだらけでした。 (後編に続く)

 

 

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