スペインのクリスマス菓子
渡辺万里 Mari Watanabe

 
「クリスマスに、アリカンテで作られたトゥロンを食べる。私たちは当たり前のことのように思っているけれど、実際はそこに至るまでのたくさんの『何故』があるはず。どうしてトゥロンがクリスマスのものなのか? どうしてアリカンテなのか? どうしてアーモンドの菓子なのか?……お菓子を売ることを仕事にする一家に生まれたのだから、そういう歴史を知っておきたいと思って勉強してきました。」

 アナはそう言って、クリスマス菓子に関する私の疑問のあれこれに答えてくれた。彼女に道案内をしてもらって、スペイン菓子の世界のいくらかを紹介しよう。その舞台がクリスマスなのは、普段はやや地味で目立たない感のあるスペインのレポステレリア(菓子、デザート)の世界に、もっとも華々しくスポットライトがあてられるのがクリスマスシーズンだから。そして、元々はカトリックの祭日であるクリスマスの菓子の由来が、実はユダヤ教徒やイスラム教徒にある、というような事実そのものが、スペインの経てきた独自の歴史の一端を物語ってくれるからだ。

 
サン・ミゲル市場内の「オルノ・サン・オノフレ」

左からトゥロン・デ・ヌエス、
パン・デ・カディス、トゥロン・デ・ナランハ
 

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