特集

ESPECIAL

acueducto 39 特集「スペイン在住の日本人6人。スペインで為せば成る!」

PDF記事

PDF掲載誌

MINAKO(通訳・翻訳者 / バルセロナ在住)


ぶれずにスペイン語一本でやってきたが、
仕事は多く常に忙しい毎日。
そういう運命なのかな、と思っている。

スペインへ行くことになったきっかけはなんですか?

 大学受験の指定校推薦枠にイスパニア語(スペイン語)学科があり「イスパニア」という響きに惹かれ、京都外国語大学に入学。ここから、スペイン語に打ち込む人生がスタートしました。大学時代には交換留学で1年間バルセロナ自治大学へ。現地の生活スタイルや娯楽と出会いながら、非常にのびのびとした留学生活を送ることができ、卒業後、もう一度同じ大学へ2年間留学。1年目はスペイン語のさらなるブラッシュアップが目的で、2年目からは哲文の授業の聴講もスタートしました。スペイン語は、勉強していて楽しい言葉。動詞の活用も勢いで覚えることができて、とても自分に合っている言語という点が大きかったですね。

仕事をどのように実現させましたか?

 学生時代にバルセロナ留学していた時に、人づての紹介で漫画の翻訳や、声優の演技指導などのアルバイトを始めました。当時からバルセロナは漫画文化が旺盛でした。漫画はそれまで自分もよく読んでいましたが、作品によってはかなりおかしなセリフやダジャレを際限なく訳さなくてはいけなかったので、今はちょっと苦手かも……。プロの通訳・翻訳者として仕事をスタートしたのは2回目の留学から帰国直後。通訳・翻訳会社に登録して仕事を受注し、それからしばらくしてメキシコに2年半滞在して通訳・翻訳をしました。帰国後は日本で6年ほど、製造業、官公庁や刑務所などの公的機関、語学学校で企業向けのスペイン語の講師、NHK取材の通訳など……多岐にわたる業界で通訳・翻訳業務をこなしました。後にフリーランスも始め、さらにさまざまな業界に関わるように。2012年に渡西し、6ヶ月ほどマドリードで暮らした後、夫の仕事の都合でスイスのチューリッヒに2年滞在。スイス時代もネットで仕事を受注し、スペインにも出張していたので、とても忙しい時期でした。2014年にマドリードに戻って3年間暮らし、2017年にバルセロナに引っ越しして現在に至ります。

Minakoさんが学生時代によく読んでいたスペイン語の哲学、文学作品。

仕事のお客さんは、どんな人たちですか?

スペイン人:1% 日本人:99%
男性:55% 女性:45%
主な年齢層:40〜50代

バケーションはどうしていますか?

 フリーランスなので1日完全に休みという日はありません。夏に帰国した時もがっつり仕事し、7月は日本で大量の翻訳仕事をしています。スペインで家族旅行に出かけている時も、その合間に仕事のやり取りをしているので、旅行中は仕事と旅行の両方しなければいけないのでかなり忙しいです。

バルセロナ北部の海岸コスタ・ブラバは、お気に入りの場所。

スペイン暮らしを振り返って、性格や考え方に変化はありますか?

 大きな影響があったと思います。スペインに住んでいると、明るい人たちと楽しく交流できるだけではなく、時には拒絶や怒りの感情を示さなくてはいけないことがあります。日本のように沈黙が尊重される国ではなく黙っていると自分の意見がないとみなされるので、日本しか知らない頃の自分からすると随分とはっきりとした強い性格になったと思います。その一方で信頼できる人、家族や友人に対してはこれまで以上に優しく、大事にできるようになったと思います。

スペインで幸せな瞬間

 仕事でより多くの活躍のチャンスがあること。特にこの仕事をしていると、普段は関われない人との出会いや、入れない場所に行くこともあるので視野が広がります。そして他人を咎める目が少ないです。日本だと、他人の常識の範囲から外れる行為は影で非難されることがありますが、スペインは、自分が自由に生きたいから他人の自由も束縛しない、という考え方が主流で、自己責任で自由に活動できます。

VOLVER

PAGE TOP