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心の底から捧げるオマージュ
Antonio Gil de Carrasco

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第1回クンブレ・フラメンカ(企画協力/堀越千秋)でカンテを熱唱
©Instituto Cervantes de Tokio

 

 偉大な画家、フラメンコ・カンテの名手としてだけでなく、人としてもこの上ない人物だった彼に宛ててこの追悼文を書くことが、私にとってどれだけ辛いことか、お察しいただけるかはわからない。

 堀越千秋先生に、心の底から捧げるオマージュの一環として、この場をお借りして別れの言葉を簡潔・明解に述べたい。

 清廉潔白、優秀、正直、批判的、温和、グルメ、賢明、悲嘆、生命、悲しみ、絶望、闘志、明快、型破り、思いやり、悲観、敏感、開放的、遠慮、活気、夢、フラメンコ、倫理、勇気…… 私が羅列したこれらの言葉を使って、皆様に文を組み立てていただくことで、この偉大な芸術家である堀越千秋先生に私が伝えたいことを垣間見ていただけるだろう。

 堀越千秋先生は、あらゆる意味において私が尊敬する人物だった。彼の芸術性は、自身の道徳的資質に内在していた。彼は非常に多様なテーマについて語り、常に私の意見と同じではなかったが、正直で聡明で「優秀な」人物から発せられる言葉には、いつも深く考えさせられたものだった。

 千秋、僕の国とはこんなにも文化の違う日本に僕がやって来てから僕が戸惑い続けたこの数年間、きみが明るい声を聞かせ続けてくれたことに感謝している。きみは、僕に起きたすべてのことを常に道理・不条理、正誤など関係なく、よくわかってくれた。

 きみという人、それからきみからかけられた言葉の数々に心から感謝している。昨日も今日も僕はきみの言葉がまたすぐ聞こえる気がしている。そして今、明日はもうそれがないと思うと不安感と戸惑いに打ちひしがれる。きみの言葉はいつも、僕に人としての自信と希望をくれた。時が経つとともに僕は、きみという真の道徳的気概の持ち主が僕のそばにはもういないということを実感していくことになるだろう。

 千秋、僕は、信仰や生命、死後の世界などから逸脱した次元において、きみのような天才が死ぬことはないと信じている。きみの作品、きみの歌、きみの言葉、きみの気持ち、きみの気質は、いつも何らかの形で僕たちの中に生き続けるだろう。

 さようなら、千秋。



A・ヒル・デ=カラスコ / Antonio Gil de Carrasco

Nació en Granada en 1954. Escritor y periodista. Doctor en Letras, Licenciado en Filosofía y Letras, Diplomado en Educación General Básica. Fue director del Instituto Cervantes de Tokio (del 2012 al 2017).

1954年グラナダ生まれ。作家、ジャーナリスト。文学博士。哲文学部卒業。教職課程履修。セルバンテス文化センター 東京(日本)前館長(2012年-2017年)。

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