2019年07月
La Alpujarra
残雪シエラ・ネバダ山脈を背景に静かな佇まい
「あの輝く残雪の山の向こうには何があるだろう?」と疑問を抱かせる風景だ──標高3,000m 級の山々が連なるシエラ・ネバダ山脈の向こうには、かの有名なグラナダがある。
風光明媚なアルプハーラ街道の標高は1,200~1,400m。真夏でも涼しく乾燥しており、避暑地として最高の場所だ。街道はカピレイラなどの白い村や、生ハム「ハモン・セラーノ」の本場トレベレスを結んでいる。カピレイラは日本人画家の市村修が暮らした村だ。
グラナダは最後のイスラム王朝のボアブディル王が1492年に、レコンキスタの征服者に城の鍵を渡してこの地をキリスト教徒に明け渡した。シエラ・ネバダの険路にさしかかり、宮殿を視界に惜別の涙を流し、集団はこの街道を通り地中海からアフリカ大陸のイスラム国へ渡った。ただし、一部はこの街道沿いに居残ったと伝えられている。
空気のきれいな山道をのんびりと散策し、一帯の昔ながらの佇まいを味わうことができる。好天気の日には地中海が望めるだろう。
牧瀬 貢 / Mitsugu Makise
一般社団法人横浜スペイン語センター前理事長。横浜市戸塚区在住。1961年、ブリヂストン横浜工場にエンジニアとして転勤、ここを拠点に数多くの国内・海外経験を積む。ドイツ、カナダ、米国、イギリス、スペインに駐在。短期的な出張含め世界100ヶ国を経験。とりわけ、最後の駐在地スペインの風土、国柄に惚れ込み、北部バスク・ビルバオに駐在、休暇中に17州51県をくまなく廻り、また定年後、思い出の場所での絵画制作を楽しむ。