2018年04月
シェリー樽とシェリー酒を愉しむ人々。壁には闘牛のポスターが貼ってある
この夜のフラメンコライブ。ヘレスは現在のスタイルのフラメンコの発祥の地といわれている
シェリー酒とフラメンコの街へレス・デ・ラ・フロンテーラに着いたのは日曜の午後だった。ヘレスに立ち寄った目的は主に酒蔵巡りだったが、残念ながら日曜は休業のようなので翌日の楽しみにとっておくとして、宿のご主人に、日曜の夜にフラメンコが楽しめそうな場所、できればシェリー酒もあればなお良しと、尋ねてみた。その答えが、「それなら、タバンコ・エル・パサヘに行くといいよ」だった。
タバンコとは、シェリー酒を飲みつつタパスをつまんだり、シェリー酒が量り売りで買えたりする、ヘレス特有のバルのようなもの、なのだそうだ。夜になって、さっそくエル・パサヘを覗いてみた。壁には闘牛のポスター、カウンターで立ち飲みのスペイン人たち、そのカウンターの中にはシェリー樽が積んである。これぞヘレス!
私もさっそくカウンターの客のひとりになって、カマレロ氏お勧めのパロ・コルタードとモハマ(マグロの生ハム) のタパスを愉しんでいると、店の奥の小さなステージから、情感たっぷりのギターとカンテが聴こえてきた。カウンターの隣に立つ男性が連れに話す声が聞こえてくる。「フラメンコというのは本来、踊りじゃなく、音楽なんだ」
英国人がシェリーと呼んだビノ・デ・ヘレス( ヘレス・ワイン) を楽しめるタバンコでは、入場料もライブチャージもなく、フラメンコに触れることができる。アンダルシアのこの小さな街で、観光客向けのショーとしてではなく、より身近に人々の生活の中でフラメンコが息づいているのを感じた瞬間だった。
マグロとチーズのオイル漬けとパロ・コルタード。注文金額がカウンターにチョークで記される
【住所】 Calle Sta. María 8, Jerez de la Frontera, Cádiz
【電話】+34 956 333 359
【WEB】www.tabancoelpasaje.com
上記情報は、2018年4月時点のもので変更する可能性があります。
中村 美和 / Miwa Nakamura
情報工学修士、日本での電機メーカー勤務を経て、2007年に渡西。マドリードにていくつかの企業のウェブシステム開発等に携わった後、CROSSMEDIA WORKS,S.L.を起業。
主に観光や食に関わるプロモーションや、雑誌、ガイドブック、テレビなどの取材コーディネイトの他、マドリード情報を発信するtodomadrid.infoなどを運営。
twitter : @n_miwa @spain_go