エル・エスコリアル修道院│El Escorial


El Escorial (Real Monasterio de San Lorenzo de El Escorial)
エル・エスコリアル修道院(王立サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院)

 

 エル・エスコリアル修道院はマドリードの北西50キロほどの小さな町、サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルにあります。マドリードからバスか電車で約1時間なので、日帰りで行けます。エル・エスコリアルの電車の駅から修道院までは歩いて20分ほど、バス停からは5分ほどです。バスでマドリードの中心を出ると、しばらく何もない景色が続き、緑に囲まれた小さな町が見えてきたなと思うと修道院の建物が見えてきます。バスを降りて建物まで歩いていくと、その巨大さに驚きます。大きすぎて、どこからどこまでが修道院なのかわからないほどです。

 

 エル・エスコリアル修道院はフェリペ2世の命により、フアン・バウティスタ・デ・トレド(Juan Bautista de Toledo)、その死後はフアン・デ・エレラ(Juan de Herrera)の指揮のもとに建築が進められました。修道院の建設には、カルロス5世(Carlos V)への追悼と、フランスとのサン=カンタンの戦いで勝利したものの、聖ロレンソの教会を破壊したことへの贖罪の意味が込められているようです。

 

 修道院と言いましたが、実際には修道院、聖堂、神学校、神殿、王宮、霊廟、図書館、博物館などの機能を持つ複合施設です。1563年に着工され、1584年に完成しました。建物の規模を考えると、スペイン黄金時代のフェリペ2世の権力を思わずにはいられません。1984年には世界遺産に登録されています。

 

 外見は華美な装飾がなく直線的で無機的な印象ですが、建物の中は豪華でそのギャップに驚かされます。見るところがとにかくたくさんあるので、オーディオガイドを借りて順番に見ていくことをおすすめします。有料のガイドツアーもあるようでした。私自身はオーディオガイドを借りなかったので、自分がどこにいるのかわからず、どこを見てどこを見ていないのかもわからない、という状態になってしまいました。借りておけばよかったと後悔しています。

 

 建物の中では写真は撮れないのが残念ですが、建物全体が美術館のようで、特に回廊や図書館の天井のフレスコ画は美しく見ごたえがありました。こんな図書館でゆっくりと本を読んでみたいと思ってしまいました。他にも有名な絵画や地図が飾られ、装飾や調度品も美しく、ここで暮らしたスペイン王たちは毎日これを見ていたのかと羨ましくなります。

 

 地下の霊廟に入るとひんやりしていて、ここにスペインの歴代の王が眠っていると思うと怖いような不思議な感じがします。霊廟も造作にさまざまな工夫が凝らされています。私が行ったときはちょうどガイドツアーの人たちがいて、しばらく説明を離れたところで聞かせてもらいましたが、棺は実際の人のサイズより小さくなっているということでした。後で調べてみると、最終的に霊廟に安置する前に、別の部屋で棺に入るサイズになるまで遺体を保管しておくそうです。また、霊廟にはあと2人分しか空きがないとか。その後はどうするのでしょうか。

 

 庭園も見学できるようですが、どこから入ったらいいのかわかりませんでした。窓から見るときれいに手入れされていて、のんびり散歩すると楽しそうです。

 

 とにかく広いのでかなり歩きます。全部をじっくり見ようとすると時間がかかるので、見たいところを先に決めておいて、そこを重点的に見る方がいいかもしれません。入り口でオーディオガイドを借りて、大きな荷物はロッカーに預けましょう。お金が戻ってくるタイプのコインロッカーがありました。

 

 町にはレストランは結構あるので食事する所には困らないと思います。あまり観光地という感じではなく、歩いていると普段の人々の様子が見られて楽しかったです。

 

・開館時間:

10月~3月10:00-18:00、4月~9月10:00-20:00、月曜日は休館

・行き方:

地下鉄モンクロア駅のバス停から664番、661番のバス
アトーチャ駅から近郊線C-8に乗車

 

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