2019年07月
イベリコ・ハムは、なぜ美味しい?
世界に数ある生ハムの中でも、群を抜く美味しさのイベリコ・ハム。同じ南欧のフランスやイタリアでもそれぞれの国産ハムに引けを取らないほど人気だ(例えばフランスのトゥルーズ市場では、販売されている生ハムはほとんどがイベリコ・ハム)。世界中の美食家を魅了するこのイベリコ・ハムの美味しさの源は、赤身の味わい深さ、余韻の長さもさることながら、脂身の舌の上で蕩ける官能的甘さ、ナッツや熟成チーズを思わせる豊かな香りである。
イベリコ豚の飼育法はストレスフリー。ハーブやキノコが豊かに生えるデエサで放牧され、餌のドングリや栗に含まれる豊富なオレイン酸も美味しさの源だ。そして育成に2年、さらに生ハム熟成に最低2〜3年を要する。手間暇を惜しまぬ作り手の技により、極上のイベリコ・ハムができるのだ。
生ハムとワインのマリアージュ
生ハムとワインは、スペインの美食の定番のマリアージュ。組み合わせは、生ハムからワインを選ぶ視点と、ワインから生ハムを選ぶ視点とあるが、ここでは前者について説明しよう。
・生ハムの産地に近いワインや飲料を選ぶこと。同じ地域の食文化に生ハムもワインも属することが大原則。
・生ハムは基本的に発泡性の飲料との相性が抜群。カバ、チャコリ、シードル、ビールとも良く合う。
・生ハムの赤身と脂身の熟成度合やアフターの長さで飲料を合わせる。
例えば、
セラーノ・ハム×白ワイン、ロゼ、シェリーのエンラマ
イベリコ・ハム(セボ・デ・カンポやベジョータ)×赤ワインのボディーのある長期熟成もの
生ハムは長期熟成されているので、ランシオ香のある飲料とも良く合う。大切なことは、生ハムはいかなる飲料とも合うオードブルの王様で、マリアージュの可能性は大変広い。ぜひ豊かな組み合わせをいろいろと試して楽しんでほしい。
生ハムの美味しい食べ方
生ハムを食べる時は必ず室温にする(理想は20℃)。これは生ハムを口に入れた時にすぐに良質な脂身が口の中で溶け出すようにするため。保存は冷蔵10ºC以下で行うこと。
塊で買って生ハムを保存する場合
スライスは食べる直前に行う。残った塊はラップで包み空気を抜いて、冷蔵10ºC以下で保存。表面にうっすらカビが出た場合でも、取り除けば内側は食べることができる。生ハムの製造工程でカビの発生は不可欠。元々保存食で長期保存に耐えられるため、腐敗する可能性は極めて低い。