2012年05月
100キロ以上の爆竹が一斉に爆発するマスクレター
ファリャと呼ばれる火祭りはバレンシア市のものが有名であるが、バレンシア市から約40km離れた町アルシラや、パルマ・デ・マジョルカなどのバレンシア市以外の都市でも開催されている。また、南米にはバレンシア州からの移民が多く、1950年代からはアルゼンチンのマル・デ・プラタ市を初めとした南米の都市でも行なわれている。
バレンシアのファリャは、大工たちが守護聖人である聖ヨセフの日(3月19日)に古い木材やかんなくずを燃やしていた習慣から始まったといわれている。別の説では、異教徒の儀式に由来するとされている。現在のファリャでは、祭りの期間中、ポリエチレン製の巨大な張子の人形が街中に飾られ、聖ヨセフの日にそれらが燃やされる。ファリャとは燃やされる人形と火祭り自体の両方をさす言葉である。この名称は、たいまつを意味するラテン語「ファクラ」に由来している。
ファリャの最初の行事は、2月の最後の日曜日に行なわれるクリダー(スペイン語ではllamada「お呼び」の意味)である。クリダーではファリャの参加者から選ばれた女王が参加者全員を前に火祭りの開始を宣言する。
3月15日から19日までの火祭り週間には、各地区のファリャの団体が制作した人形が街中に飾られ、その出来栄えを競いあう。それぞれの団体が寄付を募り人形作家にデザインと制作を依頼するので、人形の出来栄えは各団体の経済力に左右されがちである。モチーフは政治的・社会的な話題などの風刺的性格の強いものが多い。各地区のファリャの団体はヌエボ・セントロ商店街で開催される展覧会に人形を出品し、人気投票が行なわれる。1位を獲得した運のよい人形は火の手を逃れ、バレンシア市内の火祭り博物館に永久保存され、祭りの時期以外にも人々の眼に触れることになる。最終日の19日には1位以外の人形がすべて燃やされ、祭りは最高潮に達する。
祭りの最終日には燃やされてしまう人形たち