2019年07月
スペイン美術を代表する画家フランシスコ・デ・ゴヤが死没した4月16日。知人のジャーナリストに誘われて、ゴヤの眠るマドリードのサン・アントニオ・デ・ラ・フロリーダ礼拝堂を訪れた。プリンシペ・ピオ駅から近いその礼拝堂は、ゴヤのパンテオンとも呼ばれ、その内部には1828年にフランスのボルドーで亡くなったゴヤの墓があり、見上げると天井ドームに画家自身の手によるフレスコ画《聖アントニオの奇跡》が描かれている。観光エリアから外れた小さい礼拝堂ながら訪れる人が絶えない。
この礼拝堂を訪れると必ず立ち寄るのがCasa Mingoだ。もちろん、この日の昼食もここで決まりだ。
ゴヤの没した60年後の1888年創業のCasa Mingoは、林檎の発泡酒シードルと鶏の丸焼きを売りにした老舗のタベルナで、古い鉄道の建材のための倉庫を改築した建物に、シードルの瓶を並べたバーカウンターの棚、壁の樽など、この店らしい飾らないどっしりとした趣を残している。平日の昼の、スペインのランチにしては少し早めの時間にも関わらず、すでに店内は地元客で賑わいはじめていた。とにかく客のほぼ全員が注文するので、鶏を注文するとあっという間にサーブされる。時間をかけてじっくり焼いた鶏は、柔らかくてジューシー。
目まぐるしく新しい店がオープンしては消えていく首都マドリードで、100年以上もマドリレーニョたちに愛され続けるのには、やはり確かな理由があるのだ。
【住所】Paseo de la Florida, 34, 28008 Madrid
【電話】+34 915 477 918
【WEB】www.casamingo.es
上記情報は、2019年7月時点のもので変更する可能性があります。
中村 美和 / Miwa Nakamura
情報工学修士、日本での電機メーカー勤務を経て、2007年に渡西。マドリードにていくつかの企業のウェブシステム開発等に携わった後、CROSSMEDIA WORKS,S.L.を起業。
主に観光や食に関わるプロモーションや、雑誌、ガイドブック、テレビなどの取材コーディネイトの他、マドリード情報を発信するtodomadrid.infoなどを運営。
twitter : @n_miwa @spain_go