2019年04月
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皆様こんにちは!
スペイン菓子工房ドゥルセ・ミーナの藤本恭子です。
これまでのスペインのお菓子修業の中で出会った、
印象に残ったお菓子をご紹介いたします。
エンサイマーダ / Ensaimada
今回は私が2008年夏に滞在したマヨルカ島の街パルマ・デ・マヨルカのお菓子についてです。ここは紀元前123年にマヨルカ島とメノルカ島がローマ帝国の領地となってから築かれた古い街です。マヨルカ島のお菓子といえば、ラードを使ったぐるぐる巻きの甘いパン「エンサイマーダ」が有名。Ensaimadaは3つの意味から成る言葉で、それぞれen=con, saim=manteca, ada=hecha を表し、直訳すると「油脂で焼いた」という意味になります。ラードはスペインの食生活に根付いており、エンサイマーダだけでなく、ラードを折り込んだクロワッサンやクッキーも売られています。
スペインの有名なエンサイマーダを知りたいと、修業先のシェフに話をしたところ、人づてに「カン・ミケル」というお店があることがわかり、ご親切にも店主のミケルさんにエンサイマーダの作り方を教えていただきました。カン・ミケルには少なくとも16世紀からあるとされる、スペインの中でもとても古く、珍しい石窯がありました。古くとも現役でしたから毎日薪をくべ、エンサイマーダやクレマディーリョ、クロワッサンなどを焼いていました。焼きたてのエンサイマーダはふわっとして本当においしく、いくつでも食べられるものでした。
ここはリゾート地としても有名です。古い建物の多く残る旧市街や美しいビーチも数多くあり、1ヶ月の滞在を大いに楽しむことができました。
百聞は一見に如かず。マヨルカ島、ぜひ皆さんも訪れてみてください!
エンサイマーダの不思議な形の由来については諸説あり、正確にはわかっていません。ヘブライ料理で渦巻き状の焼いたものがあった、アラブ占領時代に渦巻き状の菓子があったとする説などがあります
古い石窯で焼く様子。エンサイマーダの作り方を教えてくれた「カン・ミケル」の焼き菓子はすべてこの石窯を使い、電気式オーブンは使用していませんでした。生地をこねて分割し、休ませ、広く伸ばしラードを塗り、休ませ、最終的な成形をして一晩発酵させます
パルマでは事前の下調べでも出てこなかった現地限定のお菓子をいくつも発見できました。クレマディーリョ、コカ、ルビオルなどのお菓子、そしてエンサイマーダの変型版などがあることもわかりました
スペイン菓子工房ドゥルセ・ミーナ
〒302-0131
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