2017年05月
創業当時から現役の薪オーブン。タイル張りがスペインらしく華やかで美しい
子豚の丸焼きがずらりと並ぶ焼き場の風景は一見の価値あり
“ボティンの2階で昼食をとる。ここは世界中で最高のレストランの1つだ。
子豚の丸焼きを食べて、リオハ・アルタのワインを飲んだ。”
ヘミングウェイの小説『日はまた昇る』にこのような一節で登場するのが、今回紹介するマドリードの老舗レストラン、ソブリーノ・デ・ボティンだ。開業は1725年と極めて古く、ギネスブックに「世界最古のレストラン(*)」と認定されていることでも知られている。スペイン絵画の巨匠フランシスコ・デ・ゴヤも、マドリードへ上京した1765年頃に皿洗いとして働いていたという逸話も有名だ。創業以来、何世紀にも渡って、伝統的なカスティーリャ料理で世界の美食家達の舌を楽しませてきたボティンの代名詞ともなっているのが、コチニージョ(子豚の丸焼き)だ。草を食べる前の乳飲み子豚の柔らく臭みの少ないミルキーな肉質と、開業当初から現役の薪オーブンで職人たちが丁寧に焼いたパリパリの皮の香ばしさのコンビネーションを心ゆくまで堪能しよう。ヘミングウェイに倣ってリオハワインもお忘れなく。それ以外の一皿を挙げるのであれば、鶏のペピトリアだろう。玉ねぎ、卵黄、アーモンド、サフランなどを使ったクリーミーなソースで煮込んだ伝統的な鶏料理で、米と併せていただく。サフランやアーモンドの香りが効いていて、日本人の舌にも合う一皿だ。ちなみに、世界的に知られる人気店ゆえ、これから訪問される方は、事前の予約をお勧めする。
*実際の「世界最古のレストラン」の称号については諸説あり。
スープとデザート、パン、ドリンクがついたコチニージョのセットメニューは1人前44.35€
サフランと卵黄のあざやかな黄色が目を引くペピトリア
地下のダイニング。昔は貯蔵庫として利用されていた
古いイスラム支配時代の地下道を利用した地下のワインセラーも必見
【住所】 Calle Cuchilleors 17, 28005 Madrid
【電話】+34 913 66 42 17 / +34 913 63 30 26
【WEB】www.botin.es
上記情報は、2017年5月時点のもので変更する可能性があります。
中村 美和 / Miwa Nakamura
情報工学修士、日本での電機メーカー勤務を経て、2007年に渡西。マドリードにていくつかの企業のウェブシステム開発等に携わった後、CROSSMEDIA WORKS,S.L.を起業。
主に観光や食に関わるプロモーションや、雑誌、ガイドブック、テレビなどの取材コーディネイトの他、マドリード情報を発信するtodomadrid.infoなどを運営。
twitter : @n_miwa @spain_go