2018年10月
西宮市国際交流協会
スペイン語おしゃべりの会
活動報告 2018.10.04
Venezuela, Tierra de Gracias
ベネズエラ、恵みの地
西宮国際交流協会「スペイン語おしゃべりの会」が2018年9月16日(日)に行われた。ゲスト講師はベネズエラのフェルナンド・マルカノさん。昨年奥様と共に来日されたばかりで、いま日本語を特訓中。シメサバが好きというクールな方。
現在、政治・経済・社会のあらゆる面で苛酷なまでに厳しい状況に置かれた祖国について、逆に楽しい面に重点をおいて紹介してくださった。
コロンブスが3回目の航海時にオリノコ川流域に達し、その美しい景色に魅せられ、カトリック両王宛の報告書の中でその地をTtierra de Gracias(恵みの地)」と呼んだ。これが今回のお話しのサブタイトルである。
国名の由来については、アメリカの名称の語源となったベネツィア出身の探検家アメリゴ・ヴェスプッチが湖上の木の支柱の上に建つ原住民の住居を見て pequeña venecia と呼んだことから Venezuelaとなった。さらには、15世紀のスペイン人航海士かつ地図製作者のJuan de Lacosa がMapamundiに“Venci-uela”と書き込んだことにも由来するとの説も語ってくれた。
美しい写真を通して国の魅力を知ることができた。主な内容は、
・ベネズエラの自然遺産として有名な世界一の落差(千メートル弱)を誇るエンジェルフォールやテーブルマウンテンのあるギアナ高地。
・アンデス源流で世界3番目に水量の多いオリノコ川の黄色い水と、カロン川の青い水の合流点で、2つの色がコントラストを成して混ざらずに流れている現象。その理由は水温差と水に含まれる有機物濃度による比重差とか。アマゾン川で水の色の異なるネグロ川とソロモン川が交わらず悠々と流れるのと同じである。
・食べ物ではトウモロコシが原料の国民食 arepa, cachapa, hallaca や盛り合わせた pabellón criollo。
・アルコール飲料では知る人ぞ知るベネズエラ産ラム酒。また、カカオはベネズエラが原産地との説も紹介。
・国の鳥(turpial : 頭が黒色で胸が黄色)・国の木(araguaney : 目の覚めるような黄色の花を咲かせる)
そして何よりも驚いたのは、1952年から2015年まで世界中のさまざまな美人コンテストで実に212名のベネズエラ女性が栄冠に輝いたことである。その数に参加者から思わずウォーという声が上がった。1人の女性参加者がその理由を訊ねると、マルカーノさんはご自身の一族の系譜を例に挙げながら、ベネズエラ社会ではさまざまなルーツの民族の混合があり、これが何代にもわたって優位に作用して美人が生まれると説明された。
自然の素晴らしいこの国に1日も早く平穏な日が来ることを願って止まない。
文・写真提供 伊藤嘉太郎