スペインの老後の暮らし

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vol.1 高齢者集合住宅サンタ・クララ


篠田有史

Residencial Santa Clara

 地中海に面した街マラガの中心から車で10分ほど内陸に入ったところに、リゾートホテルのような住宅が建っている。周辺には森が広がり、ベランダからは、遠くに真っ青な地中海が見える。

FOTOS = ©︎Yuji Shinoda

まるで、リゾートホテルのような外観。広い敷地には散策用の小道が作られている
それぞれの部屋には18㎡のテラスがついている

 40年ほど前、マラガの下町の住人仲間たちが集まって、老後のための終の住居をつくる計画をたてた。当初からのメンバーで、ここで妹と暮らすマリパスさん(75)は、最初は20人に満たない子どもの頃からの友だちが集まって、歳をとってからも一緒に暮らしたいねと話していただけだった、という。多くは女性だった。その後、1991年に協同組合をつくってお金を集めた。知り合いの不動産屋に頼んで、土地を探し、友人の建築家に設計を頼んで、2000年、自分たちが本当に住みたいと思える家をつくりあげた。それが「サンタ・クララ」だ。

昼食には、ほとんどの住人が食堂に集まる。ワイン付きでデザートまであるフルコース料理を談笑しながら食べる

 南向きと西向きに階段状に並ぶ部屋は、全部で76室。部屋の広さは50㎡の1LDKで、18㎡のテラスがついている。広めの2LDKの部屋も6室ある。

 大食堂はもちろん、会議室、図書室、リハビリの部屋、美容室、パーティ用の部屋、屋外にはプールもあり、フラメンコやカラオケ教室で楽しむ老人たちもいる。広い敷地内はたくさんの樹木が植えられ、散歩には絶好の小道が続いている。

ペドロさん(78)は、施設の運営委員7名のうちの1人。マドリード出身だが、暖かいマラガの気候が気に入り夫婦でここに入居した
ペドロさんのベランダからは地中海が見える。船乗りとして過ごした若い日々を思い出すこともあるのだろうか


篠田 有史 / Yuji Shinoda

1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。【写真展】冨士フォトサロンにて『スペインの小さな町で』、『遠い微笑・ニカラグア』など。【本】「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社)、「雇用なしで生きる」(岩波書店)などの写真を担当。

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