Eco España vol.15「市民団体 カラマレ Ca La Mare」
篠田有史

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 パエリアで有名なバレンシアの中心から、車で南へ20分ほどいったカタロハという地区に、「カラマレ」というフードバンクと食堂を兼ねたNGOがある。カラマレは、Ca La Mareと綴り、Casa de la madre(母の家)の略だ。

Ca La Mareの正面

入口に貼られたCa La Mareの絵

 Ca La Mareは、社会的に排除されている移民やホームレスの人たちに、健康的な生活を送ってもらえるよう、 食料や食事を提供することを目的として、20159月に設立された。創設者は、ジョバンナ・ロドリゲスさん(48)。以前、自分が経営するレストランで、モロッコやアルジェリアからの貧しい移民の少年たちに食事を提供していたことがきっかけだった。

創設者のジョバンナ・ロドリゲスさん

 現在はボランティアが、企業やスーパーから寄付された食品や日用品などを整理し、箱につめ、登録カードを持つ人たちに配っている。さらに、登録カードを持つ被支援者たち自身150人と社会奉仕活動を義務付けられた受刑者30人、そこに一般のボランティアも加わり、みんなで毎日420人分の食事を作り無償で提供している。

配給品を配る

配給品

 Ca La Mareの施設は、街の中央にある広場に面した比較的新しい建物の1階にある。薄暗い内部は雑然とした感じで、壁際の棚にはさまざまな食料品が、ところせましと並べられている。働いている人たちもいるが、椅子に座ったり、立ち話をしたりしている人たちもいる。みんな思い思いのことをしていて、自由な雰囲気だ。奥には調理場があり、数人の男女が働いていた。この日のメニューは、パエリアとPatatas con chorizo(ジャガイモとチョリソ・ソーセージ)。ペトラさん(64)は、自身も苦しいやりくり(年金5万円)をするなか、ボランティアとして調理に参加している。「助けが欲しいと同時に、人の役に立ちたかった」という。ここでは、助ける人も助けられる人も上下関係はなく平等だ。

オーブンからPatatas con chorizo(ジャガイモとチョリソ・ソーセージ)を取り出すペトラさん

大きな鍋でパエリアをつくる

fotos ©︎Yuji Shinoda



篠田 有史 / Yuji Shinoda

1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。【写真展】冨士フォトサロンにて『スペインの小さな町で』、『遠い微笑・ニカラグア』など。【本】「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社)、「雇用なしで生きる」(岩波書店)などの写真を担当。

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