2018年01月
Parador de Toledo
古都トレドのパラドール
トレド市街の南側のタホ川から傾斜のある山道を登るとパラドールがある。建物自体には特別の印象は持たなかったが、いざ2階の部屋に通され、バルコニーから庭を挟んで見るトレドの全景に驚嘆し、長時間かけて詳細にスケッチしたことを思い出す。
トレドは三方を急峻な崖に囲まれた、強固な城塞都市である。ローマ帝国の治世下に城壁が築かれ、その後西ゴート族がここを首都と定めた。やがてイスラム教徒が侵入し、その後、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の三宗教が共存した。またカスティーリャ王がイスラム教徒支配下のトレドを奪回し、都をレオンから遷した。 街のシンボルであるカテドラル、レコンキスタ時代の武将エル・シドが築いたアルカサル、ギリシャ生まれのエル・グレコが移住し1614年の死に至るまで描き続けた数々の名画などの遺産も豊富にある。この「皇帝の丘」のパラドールは、建設は新しく1968年である。
牧瀬 貢 / Mitsugu Makise
一般社団法人横浜スペイン語センター前理事長。横浜市戸塚区在住。1961年、ブリヂストン横浜工場にエンジニアとして転勤、ここを拠点に数多くの国内・海外経験を積む。ドイツ、カナダ、米国、イギリス、スペインに駐在。短期的な出張含め世界100ヶ国を経験。とりわけ、最後の駐在地スペインの風土、国柄に惚れ込み、北部バスク・ビルバオに駐在、休暇中に17州51県をくまなく廻り、また定年後、思い出の場所での絵画制作を楽しむ。