Eco España vol.7 オリーブを使ったバイオマス発電
篠田有史

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バイオマス発電施設。煙突からはときどきスチームが立ちのぼる

 スペインといえばで思いつくものの中にオリーブがある。スペインを、特に南部アンダルシアを旅していると、山や丘一面にオリーブの木が植えられている風景によく出会う。何といっても、スペインはオリーブの生産量が世界一なのだ。しかもその約80%はアンダルシアで生産されている。オリーブからは、油がとれ、漬け物になり、石けんやクリームにもなる。オリーブは、きわめて有用な植物である。しかし、オリーブが再生可能エネルギーに役立っていることはあまり知られていない。

 高い煙突からときどき煙が立ちのぼる。ちょっと心配そうに見上げるぼくに「あれはスチーム、湯気です。心配はいりません。ここからは、有害なものは一切出ていません」と担当者の女性が説明してくれる。ここは、アンダルシア州コルドバ県にあるバロリーサ・エネルヒーア社のバイオマス発電施設だ。

天然ガスを使った発電も行い、安定的な電気の供給をしてい

バロリーサ・エネルヒーア社のバイオマス発電施設

 ここでは、オリーブから油を搾ってできるカスを買い取り、さらに搾って油を抽出し食用油として売り、残ったカスとオリーブの収穫時に出る枝を粉砕したものを混ぜてペレット状に加工して燃焼し、その熱でタービンを回し発電している。つまり、オリーブから出る「ゴミ」を再利用して発電しているのだ。これらの「ゴミ」は、近隣の農家から集めている。徹底したエコを追求している。

オリーブの搾りカスからでた油の池

不要なオリーブの枝を粉砕す

オリーブの搾りカスから作ったペレット

 バイオマス発電は、前回の太陽熱発電や太陽光発電、風力発電と比べ、燃料になる「ゴミ」がなくならない限り、安定的に電気を供給してくれる。ここでは様々な植物の燃焼実験もしていて、いまのところ現実的に使用可能なものの中ではオリーブ以上に効率の高いものはないが、間伐材や廃材なども可能だ。東日本大震災のとき、がれきの処理に苦労する日本人のことを知り、職員たちはここのプラントがあれば、がれき処理と発電ができ、一石二鳥なのにと考えたという。現在、海外での展開を考え、中米でどのようなものが燃焼に適しているか調査中である。

発電機

瓶には燃焼実験で使った様々な材料が入っている

fotos ©︎Yuji Shinoda



篠田 有史 / Yuji Shinoda

1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。【写真展】冨士フォトサロンにて『スペインの小さな町で』、『遠い微笑・ニカラグア』など。【本】「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社)、「雇用なしで生きる」(岩波書店)などの写真を担当。

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