2019年01月
大好きなのに、日本で再現するのをためらってしまうスペイン料理。その筆頭にあげたいのが、Fabes con almejas(白 いんげんとあさりの煮込み)です。
ファベスとは大粒の白いんげん豆で、スペイン北部アストゥリアス地方の特 産品。この豆を使った料理で一番有名なのは、あらゆる部位の豚肉と一緒に煮込んだ、ファバーダというかなりこってりした煮込み料理なのですが、同じ豆をあさりと煮込むとまろやかで優しい味になります。私は海辺の街ヒホンの旧市街のレストランで食べて以来、この料理の大ファンで、これは絶対に日本人向きの料理ではないかとかねがね思っているのですが、残念なことに、この豆が日本にはないのです。
見た目は似ている北海道産や長野県産の白花豆という大粒の豆を煮ると、どんなにゆっくり煮て豆そのものは柔らかくなっても、皮がそこまで柔らかく煮えません。口の中に皮が残るとスペイン人の感覚としては落第なので、これは 東京の我が家では長年、「作れない料理」ということになっていました。
でも、それも悔しいですよね。そこで、この料理に関しては割り切ることにしました。これは日本人向けに作ろう! ス ペイン人には、「皮が少し口に残るけど許してね」と先に謝ってしまえばいいと。
もちろん、できる限り豆を柔らかく煮るという基本ルールは変わりません。圧力鍋を使ってもいいですね。そして最後に、あさりを加える。北の海辺らし い素朴で温かな味わい、きっと気に入っていただけると思います。
そして、もしも日本の豆を皮まで柔らかく煮るコツを発見したら、私に教えてくださいね!
材料
白いんげん豆 | 500g |
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香味野菜 | |
玉ねぎ | 1個 |
にんにく | 3片 |
ピーマン | 半個 |
オリーブオイル | 適量 |
パプリカパウダー | 大さじ1 |
塩 | 適量 |
水 | |
あさり用 | |
あさり | 1kg |
オリーブオイル | 適量 |
にんにく | 1片 |
たかのつめ | 1本 |
白ワイン | 1/2カップ |
作り方
1. 豆は、12時間以上たっぷりの水で戻しておく。
2. 豆と水を鍋にいれて強火で熱する。一度煮立ったら、水を捨てる。
3. 再び鍋に豆を戻し、たっぷりの水を入れ、オリーブオイルも加えて煮始める。煮立ったら、香味野菜を加えてさらに煮る。
4. 30分ほど煮たら、火を弱くしてパプリカパウダーも加える。軽く塩をする。ここから2時間ほど弱火で、ときどき軽く混ぜながら煮込む。2度ほど差し水をする。
5. 最後に野菜を取り出して、ピューレにして戻す。
6. フライパンにオリーブオイルと刻んだにんにく、たかのつめを熱し、あさりを加え、白ワインで開かせる。
7. 開いたら、あさりを豆に加える。あさりの汁も、濾してから加える。
8. 軽く煮て、塩味をととのえたら、できあがり。
渡辺 万里 / Mari Watanabe
大学時代にスペインと出会い、 その後スペインで食文化の研究に取り組む。1989年、東京に『スペイン料理文化アカデミー』を開設しスペイン料理、スペインワインなどを指導すると同時に、テレビ出演、講演、 雑誌への執筆などを通して、スペイン食文化を日本に紹介してきた。「エル・ブジ」のフェランを筆頭に、スペインのトップクラスのシェフたちとのつきあいも長い。著書は『エル・ブジ究極のレシピ集』(日本文芸社)、『修道院のうずら料理』(現代書館)『スペインの竈から・改訂版』(現代書館)など。
<スペイン料理文化アカデミー>
スペイン料理クラス/スペインワインを楽しむ会/フラメンコ・ギタークラスなど開催
〒171-0031 東京都豊島区目白4-23-2
TEL: 03-3953-8414 HP: www.academia-spain.com