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acueducto 11 特集「牛追い祭りの街、パンプローナ」

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スペイン牛追い祭り 2011-2012


尾崎真之

 7月初旬の牛追い祭り参加の前夜、昨年同様、弾丸バスツアーに参加するため、集合場所である首都マドリードのあるホテルに向かった。夜10時にマドリードを出発し、翌午前4時にパンプローナに到着。その夕方4時にパンプローナを出発し、夜10時にマドリードに帰ってくるという乱暴な行程のツアーだ。祭り期間中、パンプローナのホテルの料金は通常の数倍に跳ね上がるため、現地での宿泊は現実的ではない。また「牛追い」が午前8時に始まるので、当日の交通機関を利用していては、近隣の都市からでも開始に間に合わない。そのため地元以外の参加者や見物人は、前日から未明にかけてパンプローナに入り、街中で「牛追い」を待つのだ。

 

牛追い開始1時間前のスタート地点。奥の坂の下から牛が突進して来る。

 

 午前4時、ツアーバスがパンプローナに到着し、目抜き通りで降ろされる。辺りはとても深夜とは思えない喧騒ぶりだ。街中のバルは軒先にテントを張り、割れんばかりの大音量で曲を流すクラブに変貌し、数え切れないほどの若者たちが踊っている。「牛追い」が行われる旧市街の路地はビールやワインを片手に酩酊した人で埋め尽くされ、近寄りがたいほど騒いでいる。祭りの連日連夜、世界中から集まった数万人が、乱痴気になって夜を明かすのだ。昨年は「とんでもないところに来てしまった。」と怖さを覚えた異常な光景だが、「今年もまた牛追い祭りに来たんだ。」という実感が湧き、期待と喜びに胸を弾ませた。

 

 

沿道の「特等席」で見物する人たち。1階は牛追い博物館。牛追いの疑似体験ができる。

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