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acueducto 21 特集「ベレン・マジャ」

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ニューフラメンコの先駆者として世界から注目される舞踏家 Belén Maya


Carmen Álvarez

©Jean Louis Duzert

 

エミリオ:フラメンコは今、最もいい時期を迎えていると思うよ。ベレンが言ったように、世界中でフラメンコ・フェスティバルが催され、各地でフラメンコ教室が開催されている。そこでは名の知れた革新的なアーテイスト達がさらに他のアーティスト達を刺激している。そして何よ

り、僕が来てから今までの日本ではダンスのレベルがものすごくあがっているんだ。

ベレン:ええ、その通りね。日本にはスペインに次ぐレベルの高いアーティストがいる。日本のバイラオーラは完璧な技術を持っていると思うわ。

エミリオ:そう、そうなんだよ。最近は東京の高い技術を持ったバイラオーラ達をスペインに連れて行って、そしてフェスティバルに参加し、彼女達と公演をすると、高い評価を得られる。踊りにおいては日本のフラメンコがスペインの次にくるのは明らかだよ。

カルメン:それなのに、日本のバイラオーラ達は公に認められた資格とか、免状を持つ完璧なプロのバイラオーラ、としては認められていないのよね。

ベレン:ここでは認められているわ。とりわけ生徒達からはとても尊敬され、愛されている。彼女達は日本では優れたバイラオーラであるし、そして、スペインの経験豊富なギャラの高いアーティストを招くのにお金をかけ、時間もかけてフラメンコに向き合っている。スペインでは、例えばコルドバのフェスティバルみたいに賞を与えられたりもしているわ。彼女達はスペインでも愛されているし、敬意を持って受け入れられているのよ。ただ、それでもなお、スペイン人のバイラオーラが表現するような熱さや、ほとばしる情熱を出すのは外国のバイラオーラには大変。すごく難しいの。それはスペインに生まれ、その環境で育ったバイラオーラとは違うのですもの、無理もないわ。彼女達は技術的には完璧だし、すごく熱心よね。でも自然にその情熱が身体から湧き出るようになるのは難しいことだと思う。とはいえ、フラメンコの衣裳、特にバタ・デ・コラ(フラメンコの裾の長い衣裳)を身に着け、スペイン人バイラオーラのように踊る努力を日々続けている日本人バイラオーラは間違いなく素晴らしいと言えるわ。

カルメン:ベレン、あなたの場合、偉大なフラメンコのスターを両親に持ったわけだけど、フラメンコを始めた時はどうだった?人々にすぐに受け入れてもらえた?尊敬や、期待されていると感じた?

ベレン:いや、反対ね。セビージャの評論家たちは私に親の教室を継いで欲しかったのよ。だから、『もし、父上が今の君を見たらなんと言うか?』なんて言いだす人までいたわ。

エミリオ:それはお父さんのことを知らない人が言う言葉だね。だってお父さんは君のことを、新しい感性を持った別次元のフラメンコを体現できるアーティストだと、すごく誇りに思っている、と常々言っていたからね。これは絶対に間違いないよ。僕は何度も君のお父さんにインタビューをしたことがあるけれど、君のことを聞くたびに、お父さんはすごく嬉しそうにどんなに君のことを誇りに思っているかを聞かせてくれたんだ。彼はいつもこう言っていたよ。『私のベレンはこれ以上褒めようがないぐらい、最高なんだ』ってね。

ベレン:そうなの?あの頃、みんなが私には出来ないことを求めてきて、私はいつも傷ついて実際どうでもよくなることもあったから、そんな話を聞くと嬉しい…父はそんなこと一言も私には言ってくれなかったもの…もう、パパったら…。

カルメン:最後に、この日本という全く違う国に来てみて、2人はどう感じてる?

ベレン:日本では私はとっても幸せで、おだやかな気持ちになれるわ。満たされた気持ちにね。ここの人々とその暮らし方が好きだし、できる限りこの国に通いたいと思うわ。また日本に戻ってくることは確かだし、そして次は何かを創りたいと思う。ここでは芸術的な分野で私ができることが沢山あると思うの。

エミリオ:本当に、ここにはやることがまだ沢山あるよね。

カルメン:2人の意見に賛成よ。今夜は素敵なひと時を、そしてスペイン情報誌 acueducto の読者の為に沢山の話をしてくれてありがとう。

ベレン:こちらこそ、心から愛する『フラメンコ』のことを話す機会に恵まれて、とても感謝しているわ。

 

楽しい夕食は終わった。私とエミリオは、ほどなく彼女と再会できることを切に願いつつ、ベレンと別れたのであった。

Carmen Álvarez

 

都内某レストランにて

Agradecimiento a:
≪フラメンコ教室エル・プエルトさんとその代表、ルカスとシゲキに。日本における絶え間のないスペイン文化の普及にご尽力いただき、心から感謝いたします。≫

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