2015年08月
スペインでも日本でも巡礼は盛んだ。しかし日本の巡礼地を訪れずに、むしろスペインの巡礼地を巡る日本人が多くなっている。長期の夏休みを使って毎年、部分的に歩く巡礼者や定年も迎えていざ巡礼に挑戦する人も多い。巡礼の目的はむろん、元来は宗教的なものであった。スペインのカミーノ・デ・サンティアゴは、中世キリスト教徒スペイン人の信仰から生まれ発展した。9世紀初頭のことだ。以来、ヨーロッパからの巡礼者は増加し、最盛期の12世紀には年間の巡礼者数は50万を数えたと言われる。
今日の巡礼の目的は必ずしも宗教的なものではない。精神的なもの、観光的なものと、目的はさまざまだ。今号の特集はサンティアゴ巡礼、主人公は70歳から巡礼を始めた杉本嘉孝さんです。杉本さんの巡礼の目的は自己の内面を見つめ直すことだそうです。ある時は奥さんと、またあるときは1人で巡礼の道を歩かれる杉本さんの姿は、まさに日本人サンティアゴそのものである。