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acueducto 24 特集「オリーブジュースの魅力を探る」

オリーブジュースの魅力を探る El aceite de oliva
田中富子

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オリーブの実の収穫の様子。アンダルシア州では収穫時期になると、収穫音があちらこちらから聞こえてくる

 私がこの濃い世界に入ったのは、忘れもしないハエン大学の“バージン・オリーブオイルにおけるテイスティングのエキスパートコース”がきっかけとなったわけであるが、それからどっぷりと“オリーブ教”に漬かり現在に至っている。その魅力は何といっても、その“手作り感”だ。市場で見ることができるオリーブオイルの種類としては、エキストラ・バージン・オリーブオイル(以下EVO)、バージン・オリーブオイル(以下VO)、そしてオリーブオイル(旧ピュアオリーブオイル)が一般的であろうが、私の言う“手作り感”とは、オリーブの実のジュース、つまり物理的工程のみで絞られたEVO、VOに言及される。栽培地が持つ特性、気候、品種、栽培方法、製造方法等、栽培から製造までの全工程がその官能見地(香りと味)に影響を与えるため、作り手の“心”が顕著に表れる製品だからである。また、EVO、VOというような種類に分類されるためには、官能検査を通らなければならない製品であるということも大変興味深い。この検査を通らなければ市場に送り出すことができない製品は他には存在しないのである。ちなみに、前記したオリーブオイル(旧ピュアオイル)という名前で販売されている商品は、通常その成分の90%以上が精製オリーブオイル(残りをEVOもしくはVOで配合される)であり、溶媒と熱を加えて精製する工程により、オリーブジュースが本来持つポリフェノールやビタミンE等の栄養成分が喪失するため、VOと同じレベルで話をすることは、オリーブ教徒としては避けたいところだ。

 それでは、EVOとVOの違いであるが、簡単に言うと品質の差であり、EVOのほうが酸度やその他理化学検査数値はもちろん、官能検査数値も上で、品質としては最高級に値する。

 前記したとおり、EVOとVOは、オリーブジュースであるため、その官能見地を楽しむべき製品であり、それは主に、品種、収穫時の実の成熟度、土地、灌漑の有無、製造時の温度等によって左右される。官能見地は、テイスティングによって評価されるが、テイスティングというのは、実際には2つタイプがある。1つ目は市場に出すための分類(上記言及)目的に行われる正式官能検査であり、2つ目はいわゆるエンジョイするためのテイスティングである。正式官能検査は、複雑なシステムであるが、簡単に言うとオリーブ栽培と製造について認識がある、訓練され選抜されたテイスターが、オリーブの実のフルーティー度(オリーブの実の香りと味の強度で、収穫時の実の状態が早熟か成熟かもチェックする)、苦味と辛味、そして栽培から製造までに起こった問題によって発生した官能的欠陥の有無を評価する検査である。欠陥とは、例えば栽培時に害虫病気被害にあった実や、収穫後すぐに搾油工程に入らなかったのが理由で発酵が起こった状態の実を搾油したり、搾油機械や管等の清掃不備、搾油時の温度を上げてしまったり、販売時に長期間温度が高い状態や光にさらされていた場合等に発生する。欠陥は20種以上あり、テイスターはそれをオイルの香りと味で感知しなければならない。フルーティー度が0の場合や欠陥の強度によってはランパンテ・オイルと分類され、そのまま市場に送り出すことは法律的に不可能なため、その後“オリーブオイル”という製品になるために精製工場に送られ、精製工程に入る。このようにテイスターは、栽培から製造販売までの全過程における知識が十分あることが前提とされ、また定期的にテイスティングを行い能力の維持が必要とされる。

(1)収穫されたオリーブはすぐに搾油の工程に移される
(2)搾油するため、粉砕後、練りこみ作業に入る
(3)搾油したばかりのオイル
(4)搾油後、フィルターをかけている様子



田中 富子 / Tomiko Tanaka

 

日本にてフォワーダー、米通信機会社勤務後、2001年よりセビーリャ在住。2006年個人自営業ビザ獲得。2008年アンダルシア州立ハエン大学にてバージン・オリーブオイル・テイスターにおける大学のエキスパートコースを修了し、オリーブオイル・エキスパートに。現在は、オリーブオイルコース、食品輸出入仲介業と執筆業を主に、通訳、翻訳等スペインと日本を橋渡し中。誠実、情熱、感動がモットーの熱い人間です。
www.creapasion.com

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