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acueducto 36 特集「フラメンコ人生、若手が輝く」

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全日本フラメンココンクール出場:出水宏輝(Farolito)


出水宏輝(Farolito), 田中光夫(Alegre)

 2018年、全日本フラメンココンクールに挑戦しました。自身の実力を測るとともに、ブラッシュアップも図るためです。これまで踊り続けている振付、格好、スタイルを通して、「私のフラメンコ」として成立できているのかどうか。また大阪を拠点としている私にとって、東京は新たな境地での披露となります。東京でも通用できるのかどうか。そんなことも含めて、今回の挑戦を決意しました。

 コンクールは「即興感」のある中で『自分のフラメンコとはどういったものなのか』を表現する場。踊りだけでなくバックも大切で、ギターには尾藤大介氏、カンテには小松美保さんにお願いしました。曲目はアレグリアス。

 大学生の頃から何年も踊り続けてきた「アレグリアスなら自分らしさも出る!」と考え、予選会場へ向かいました。踊ったときのことは正直覚えていませんが、これまで踊ってきたアレグリアスの中でも良かったほうかなと感じていました。結果発表の時、予選通過者を見ると私の名前がありました。

 本選は1週間後。ですが、本選の翌日は私がアシスタントをしている石川敬子フラメンコ教室‘Fin de curso’が大阪で行われる日でした。かなりのタイトなスケジュールでしたが、チャレンジをしていこうと考えました。本選では、ギターは同じく尾藤大介氏。カンテは大阪でいつも伴唱してくれている小山奈美さんにお願いし、曲目はソレア。ソレアもこれまでに何度か踊ってきていましたが、正直予選のアレグリアスのときより自信はありませんでした。フラメンコベースの曲でもある中で、どのように「男らしさ」、「フラメンコらしさ」、そして、「自分らしさ」を出せるか。

 あっという間に演目も終了し結果発表。私にとってこれまでに一番緊張した発表の場でした。『努力賞 出水宏輝』と呼んでいただき舞台へあがりました。「優勝はできなかったものの『努力賞』を獲得できたことは1つの成長」として自分自身を褒めたいと思いました。

 1つ上にステップアップした分、複数の課題が見えてくるフラメンコ。自分の成長すべき点が多く見えるフラメンココンクール。それに挑戦しただけでもたくさんの刺激と成長をいただけました。

©︎Yuki Omori

大学生の頃、官民協働留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN~日本代表プログラム~」多様性人材コース第一期生で、スペインへ語学とフラメンコ留学を行いました

出水宏輝(Farolito)公演情報
2019年1月26日(土)
[大阪]イタリアンバル クラシコ
2019年2月2日(土)
[大阪]イタリアンバル クラシコ
2019年2月9日(土)
[神戸]スペイン料理 カルメン
2019年3月24日(日)
[大阪]東成区民センター大ホール

出水宏輝さんについて

 出水宏輝は、一般の方々にフラメンコを広めるという使命感を持っています。このことが、全日本フラメンココンクールの出場にも繋がりました。彼は何をやっても続かない息子に何か合うものを探していたという母親の薦めで、小学5年生の時に当教室のギター科に入門しました。ギターの上達も目覚ましく、2年程経った教室の忘年会で踊りも披露して皆をびっくりさせました。本人に踊りをやりたいかを尋ねると、やりたいとの返事で、そこからは舞踊を棚原美和に仕込まれ、怒涛の勢いで成長し、中学2年14才でグルーポペパの全国ツアーライブでプロデビューを果たしました。

 デビュー後はグルーポペパの公演・ライブ等に出演し、大学時には難関の留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」に見事合格し、1年間のスペイン留学も果たしました。22才の時にはソロリサイタルを大阪・寝屋川のアルカスホールで開催し大成功を収めています。その後も各地のイベントやライブに出演、2018年には摂南大学入学宣誓式(大阪城ホール)にて、在学生300名以上とフラメンコのフラッシュモブを実施しました。その他、石川敬子フラメンコ教室の代教アシスタントとして活動しています。

 身内贔屓ではなく、フラメンコ歴55年の私は色々なフラメンコを多数見てきましたが、出水宏輝のような子は初めてで、間違いなく天才で正に日本のフラメンコ界の至宝といえるでしょう。これからの成長が楽しみです。 

石川敬子フラメンコ教室 主宰 田中 光夫(Alegre)

石川敬子フラメンコ教室
大阪府四条畷市岡山232-6
忍ヶ丘教室 スタジオ・ペパ(本部)
Tel:072-877-6664
www.flamencopepa.jp

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