特集

ESPECIAL

acueducto 37 特集「日本食とも相性抜群!味わい豊かなシェリー酒の世界」

ヘレスと シェリーの風景
木村友胡

PDF記事

PDF掲載誌

Jerez de la Frontera

 近年、日本でも色々な業態の飲食店で多くの銘柄のシェリー酒が提供されるようになってきました。そこで、今回は主にシェリー酒の生産地域の中心部、アンダルシア州のへレス・デ・ラ・フロンテーラ市(以下へレス)ではどのようにシェリー酒が楽しまれているか、大きな年間行事とともにご紹介したいと思います。

春(Primavera)

 毎年4月のセビーリャ市の春祭り(フェリア・デル・アブリル)が終わった後にヘレスでは馬祭り(フェリア・デル・カバ―リョ)が開催されます。フェリアの会場で人々はシェリーを片手に馬車に乗ったりそぞろ歩きをしたり、祭り小屋ではフラメンコを踊って思い思いに一日中楽しみます。春といえども日中は最高気温が30度前後になるため、キリリと冷えたフィノやレブヒートというカクテルを飲みながら過ごします。レブヒートはオーソドックスなレシピではマンサニージャを7upやスプライトなどの清涼飲料水を割りますが、ヘレスではフィノで割ることが多いのが特徴です。

夏(Verano)

 ヘレスの夏はとても過酷です。そのため沢山の人が週末にはサンルーカル・デ・バラメダ(以下サンルーカル)やエル・プエルト・デ・サンタマリアなどのビーチへ行きます。8月には月に2回マンサニージャの町サンルーカルでビーチ競馬(カレラス・デ・カバーリョス・デ・サンルーカル)が開催されます。世界自然遺産のドニャーナ国立公園の対岸のビーチで開催され、大人たちはマンサニージャを片手に観戦します。最終レースは大きな夕陽の前を馬たちが駆け抜け、とてもロマンティックな光景です。

 まだ暑さの残る9月。ヘレスではおよそ2週間にわたって収穫祭(フィエスタス・デ・ラ・ベンディミア)が開催されます。大聖堂の前でその年の収穫を祝福し招待客の前でピサドーラ(ぶどうを踏む人)たちが音楽に合わせて軽快にぶどうを踏み、祈りがささげられます。そして連日ボデガや、シェリー原産地呼称統制委員会、アルカサルなどでテイスティングや、シェリー造りの歴史的な写真の展示会、フラメンコとシェリーのマリアージュを楽しむコンサートなど様々な趣向を凝らしたイベントが開催されます。この時には観光客はもちろんのこと、地元のへレサノたちも自分の町のワインを勉強しようと積極的にイベントに参加します。

秋(Otoño)

 暑さが落ち着いた11月。ヘレスを中心にインターナショナル・シェリー・ウィークが開催されます。これは世界中のシェリー・エデュケーターたちが「世界中でシェリーをもっと楽しもう!」と企画したもの。ヘレスはもちろんのこと、世界中でシェリーをテーマにしたイベントやセミナーが飲食店や酒販店を始め、オンライン上でも開催されます。そしてそれをSNSやネットで世界中のシェリー愛好家と共有するものです。2018年は世界30ヶ国が参加、約2,200件のイベントが開催(日本では約300件)され、ソーシャルメディア・インパクトは3,400万を記録しました。2019年は11月4日から10日まで開催される予定です。

2018年に開催されたインターナショナル・シェリー・ウィークのポスター

冬(Invierno)

 クリスマスが近づく12月になると、ヘレスではサンボンバが町中で開催されます。サンボンバとは陶器のツボに布をピンと張ってその真ん中に棒を刺した楽器と、このサンボンバを使って人々が集まってクリスマスソング(ビジャンシーコ)を歌うイベントのことを指します。特にヘレスはブレリアの起源の町とも云われているので、ビジャンシーコに合わせてブレリアも踊られるのが特徴です。この時にはシェリーをたっぷりと使ったペスティーニョというお菓子をつまみ、クリームシェリーを飲みながら楽しむのが一般的です。

ペスティーニョ


木村 友胡 / Tomoko Kimura

2012年にシェリー原産地呼称統制員会公認シェリー・エデュケーターの資格を取得、2015年よりヘレス・デ・ラ・フロンテーラに移住。古酒専門のボデガス・トラディシオンを始め、アンダルシアのワインや食品関係企業の日本市場のコンサルティング業務を行う。ブログ:sherrywinelove.com

VOLVER

PAGE TOP