スペインの老後の暮らし

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vol.2 高齢者集合住宅トラベンソル


篠田有史
中央庭園に面した明るい食堂での昼食風景。食事の給仕は住人たちがボランティアで行なっている

 広い中庭の周りに大食堂、共用ルーム、プール、図書室などが入った建物があり、そこから居住棟が長い廊下で繋がっている。すべてバリアフリー。居住棟の間には菜園があり、ベランダからは季節の花々をながめることができる。部屋にはすべて南向きの窓があり、50㎡の1LDK +ベランダという造りだ。現在の住人は64歳から87歳で、男女80人が暮らしている。住人は、マスコミ関係や医療関係など比較的裕福な中流層の人たちが多く、運営は住人である組合員たちの手によって行われ、太極拳教室、朗読劇、映画会などさまざまな活動が行なわれている。

南側にある菜園に面したベランダでは、午前中の涼しい時間に太極拳教室が開かれていた
室内プールでは、専門家の指導のもとでリハビリが行われている
広い美術室では、気ままに創作に励むことができる

 生活費は2人世帯で、約16万円。1人世帯で13万円。有給のスタッフによる掃除や洗濯、昼食、電気、ガス、水道、通信費などすべてが含まれている。

 初期投資が少し高額ではあるが、退去時には返還される。

Trabensol
Calle Canal de Isabel II, 19, 28189 Torremocha de Jarama, Madrid
Tel : +34  918 68 37 00
trabensol.org



篠田 有史 / Yuji Shinoda

1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。【写真展】冨士フォトサロンにて『スペインの小さな町で』、『遠い微笑・ニカラグア』など。【本】「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社)、「雇用なしで生きる」(岩波書店)などの写真を担当。

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