2016年08月
02 MARQUÉS DE RISCAL
風に波打ち、
うねり輝く巨大なブドウの樹
遠くから見ると、金属の板をグニャリと踏みつけたような屋根の、1度見たら忘れられない建物は、日本でも馴染みのワイナリー、マルケス・デ・リスカルMARQUÉS DE RISCALがワイナリーの敷地内に建てたホテルだ。設計はカナダ人のフランク・O・ゲーリー。曲がった屋根は「ブドウの木」をイメージしている。屋根の色は、太陽の光によって変化し、ワインの色を表現している。建物は最初、会社が会議やパーティに使うはずだったが、あまりにも興味をいだく人が多く、要望によりホテルとして利用することになった。予約は数年先まで埋まっているらしい。
マルケス・デ・リスカルは、リオハでもっとも古いワイナリーのひとつ。19世紀半ばに、フランスのボルドーでオーク小樽による熟成方法を学んだリスカル侯爵が創業した老舗だ。醸造所は、当時に建てられたものが今も利用されており、貯蔵されたワインの中には、1862年産のものもある。王室専用の樽もあり、その心地よく甘酸っぱい香りと上品な味わいが、永く人々に親しまれている。
住所: C/ Torrea 1, 01340 Elciego, Álava.
reservas.marquesderiscal@luxurycollection.com
見学ツアー:要予約、時間要相談。10.25ユーロ(ワイン2種類の試飲込)
篠田 有史 / Yuji Shinoda
1954年岐阜県生まれ。フォトジャーナリスト。24歳の時の1年間世界一周の旅で、アンダルシアの小さな町Lojaと出会い、以後、ほぼ毎年通う。その他、スペイン語圏を中心に、庶民の生活を撮り続けている。【写真展】冨士フォトサロンにて『スペインの小さな町で』、『遠い微笑・ニカラグア』など。【本】「ドン・キホーテの世界をゆく」(論創社)「コロンブスの夢」(新潮社)、「雇用なしで生きる」(岩波書店)などの写真を担当。