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acueducto 37 特集「日本食とも相性抜群!味わい豊かなシェリー酒の世界」

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食前・食中? それとも食後? / 日本料理とのマリアージュ


中瀬航也
©︎中瀬航也

日本料理とのマリアージュ

日本料理とのマリアージュ

 シェリー酒はいつ日本に渡ってきたのでしょうか。日本の歴史で最初にシェリー酒と日本の料理を合わせたのは、1611年6月20日徳川秀忠の部下がスペイン人の料理人と料理を作り合った時のことでした。日本料理とスペイン料理の類似点は、素材中心であまりスパイスを使わないこと、そして大きな違いは旨味の出し方が、日本が発酵調味料なのに対し、スペインはオリーブ、ニンニク、トマトにあることでしょう。ただし鰹節や昆布などはある意味でハモンやアンチョビに置き換えられるかもしれません。日本人がスペインに行って無意識にその料理を気に入ってしまうのは、そんな両国の食事情があるからではないでしょうか。 一方、シェリー酒は日本にとっての何かと言えば日本酒のようなもの。地域性や飲む層などの話を抜きにすれば、日本酒というお酒もまた、シェリー酒同様あらゆるものに合わせやすいという利点があります。さらには刺身や寿司のような生魚は普通のワインですとワイン中の鉄分が魚価の脂肪分と反応して生臭みを引き出してしまいますが、ドライ・シェリーにはそれがないのです。また天ぷらなどはそもそもが、カトリックの精進料理とも言われ、イベリア半島から伝わったもの。おでんも一説にはコシードが変化したものという話もありますが、歴史背景はさておいてもこれらの日本食にはフィノやアモンティリャードが良く合います。またワインに揚げ物は喧嘩しますが、ドライ・シェリーならばそこにもマッチします。さらに焼鳥や焼肉、BBQ、お好み焼きなどとアモンティリャードとオロロソの相性の良さは体験した方々なら誰もが納得するところ。加えてすき焼きや、日本人家庭料理にもっとも馴染んだカレーにはオロロソが非常に良い相性を見せます。そして今や配達も可能な中華料理との相性は紹興酒と熟成系シェリー酒が似ていることからも折り紙付きですから、身近なあらゆる料理に合わせていただきたいですね。ただし納豆だけは無理ですのでご注意を。

©︎中瀬航也
黄色い表紙が目印の中瀬航也著『Sherry』(志學社)は2017年刊。入門者でも気軽に読める内容で、シェリーの歴史を通じて各タイプの特徴・飲み方を詳しく解説。


中瀬 航也 / Kohya Nakase

1971年生まれ。シェリー酒専門 家。公認ヴェネ ンシアドール。シェリー酒名誉男爵。公認コルタード・デ・ハモン。銀座しぇりークラブ店長を10年勤め、シェリー酒輸入商社営業を経て、バル業態プロデュース「オジャ」を広めた。現在、五反田にBar Sherry Museumを営業。全国でセミナー、イベントを開催。著書は『シェリー酒』(PHP)、『Sherry』(志學社)。ブログ ameblo.jp/catador


<Bar Sherry Museum>
常時150種類以上のシェリーと約40種類のシェリーブランデー、約10種類のベルモットなど9割がスペイン産のお酒を扱うバー。料理はスペイン料理をベースに和洋中をミックスした新南蛮料理(和華蘭料理)を提供。10席。喫煙。カード可。予約/貸切可。
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-4-8-2F奥
TEL : 03-3493-4720  17:00~24:00(日・祝定休)
sherry-museum.jimdofree.com

 

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