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acueducto 39 特集「スペイン在住の日本人6人。スペインで為せば成る!」

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三浦深雪(料理研究家 / マドリード在住)


スペイン人は堅苦しくないけれど、
特にマドリードの住民は強くそう感じる。
この街は日本人を含めてオープンな人が多い。

スペインへ行くことになったきっかけはなんですか?

 高校時代のアメリカ留学で中南米の人たちと交流したのが、スペイン語に興味を持ったきっかけ。短大時代の1997年に、スペイン語を学ぶために1年ほどスペイン留学しました。マドリード3ヶ月、マラガ1ヶ月、バルセロナ4ヶ月など各地で暮らして、この国の食文化を発見しました。現地料理は日本で知られているスペイン料理とかなり味が異なっていたのでとても驚きました。帰国して短大卒業後は7年間メーカー職についていましたが、食の分野に転職したいと思い野菜ソムリエ協会に勤めた後、スペイン料理に特化して学ぶため2007年に30歳で再びスペインに渡りました。

仕事をどのように実現させましたか?

 その頃はスペインのワーキングホリデービザがまだなかったので、まずドイツのワーホリビザを取って、ドイツの食文化も同時に学びながらスペインに滞在しました。マドリード、サン・セバスティアン、バルセロナでスペイン料理を学び、スペイン人の夫とは、この頃に出会いました。ワーホリ終了後はビザの関係で一旦帰国し、日本で4ヶ月派遣で働き、2008年春に学生ビザでスペインへ再入国。学生ビザはその後も1・2回更新しましたが2009年に結婚したので婚姻ビザに切り替えました。実は再入国してすぐ、まずは一般企業に働いて基盤を作ろうと思い履歴書を送り続けて約半年間の就職活動をしたのですが、結局、就労ビザがないと相手にしてもらえないことがわかり、心身ともに疲れ、それなら自分のやりたい仕事を始めようと思い、2009年4月にスペイン人向けの和食教室を開校しました。その後、日本人向けのスペイン料理教室を主宰しながら、調理学校プロフェッショナルコースを修了しました。

仕事のお客さんは、どんな人たちですか?

スペイン人:10% 日本人:85% その他:5%
男性:40% 女性:60%
主な年齢層:30〜40代

 開校当初は、スペイン人向けにお寿司を含めた一般的な和食レシピを用意しました。スペインもちょうど2009年頃から和食ブームがあって、当初から熱心に通ってくれる人もいました。現在は、比率8:2くらいで、日本人にはスペイン料理を、スペイン人には和食を教えています。日本人の生徒さんは9割5分が女性で、さまざまな理由でスペインに長期滞在で暮らしている人。スペイン人は男女比は半々で、クリスマスシーズンに仲間と作りたいなど、イベントに応じて学びに来ます。リピーターもいて、中には魚を捌きたい、というスペイン人もいるので、そういう場合はより詳しい日本人シェフに依頼して捌き方講座を開いたこともあります。現在、自分自身でもスペイン料理をさらに学ぶため、スペイン人の一般家庭にお邪魔して勉強中。同じ料理でも家庭ごとにかなり味が異なるので面白いですよ。

三浦さんの日本人向けスペイン料理教室では、本場の味を教えている。

バケーションはどうしていますか?

 スペインの一般的なバケーションや休日に合わせて、家族で旅行します。私にとって旅行はその土地ごとの食文化を知れる非常にいい機会。車で2時間行くだけでも、食文化はガラリと変わります。

スペイン暮らしを振り返って、性格や考え方に変化はありますか?

 今、私はいろいろな仕事を兼業しています。マドリード在住日本人向けに各種現地での生活を豊かにするイベントの開催、旅・グルメ雑誌やガイドブック向けの記事執筆など……昔、スペインで仕事を探して苦労した時代があったので、基本的に忙しくてもNOは言わないようにしています。料理留学していた頃、スペイン各地の食材について、インターネットにも十分な情報がなく自力で探す必要があり、その過程で現地で話し合える在スペイン日本人と出会えたらいいな、今の自分みたいな(スペインに来た日本人を助ける)人がいればいいなと思いました。だから今は、新たにマドリードにやって来た人に積極的に必要な情報を与えて、その先はその人自身でスペイン生活を楽しんでもらえたらいい、と思ってサポートしています。

スペインで幸せな瞬間

 日本に比べるとスペインは、マドリードやバルセロナなどの都会でもゆっくりと時間が流れているように感じます。日曜日に子供とのんびりと公園を散歩したり、街路樹を丁寧に手入れしたり……誰かが道で転んでもワッと周りの人たちが駆け寄って助けているのを見ると、仕事や約束事があっても目の前の人を助ける、そういう時間の使い方が許される国なんだな、と感じました。

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