2018年10月
風車 Molinos de viento
ラ・マンチャの象徴とも呼べる三角帽子の白い風車。コンスエグラの風車は19世紀に町人たちの要望に よって建設が始まり、何十年と長い時間をかけて、現在の12基が揃いました。最後まで産業用に活躍していたのは、1955年まで運転していた”Chispas”。現在では観光用に”Sancho”と”Rucio” の2つの風車を運転しています。”Sancho”は10月のサフラン祭りなど、町のお祭りやイベントの時だけ運転されます。”Rucio”は観光向けの風車で、冬季 以外は土日を含む週5日、羽根を回しているところを見ることができます。
いくつかの風車は現在、店舗や施設として活用されています。たとえば”Rucio”と”Mambrino”の1階はお土産屋、”Bolero”の1階はツーリストオフィスとなっており、それぞれ3階の風車内部の機械を見学できます。”Caballero del Verde Gabán”は風車全体がカフェになっており、1階が売店、2階が厨房、3階が座席。天井から突き出た巨大な歯車を頭上に仰ぎ見ながら、お茶を楽しめるユニークな空間です。
風車番の仕事と風車の仕組みコンスエグラの風車の目的は、小麦を挽いて、主食であるパンの材料である小麦粉を作ることです。風車番のおじさんが朝一番にすることは、風向きを調べることです。そのため3階にある小窓を全部開け、それぞれの窓の内側の棚になっているところに小麦をちらばし、2、3分放っておきます。そうすると風によって小麦が吹き飛ばされますので、一番きれいな棚のある窓の方向が、風の吹いてくる方向ということになります。
次に、風車の羽根を風の吹いてくる方向に向けます。実は三角帽子の風車の屋根は、羽根とともに360度回転できるようになっています。風車の後ろに長い棒が付いていますが、これは羽根との重さのバランスを取るものではなく、この棒を回すことによって、屋根全体を回して、羽根を風が吹いてくる方向に向けるという仕掛けになっています。
最後に、骨組みのような4枚の羽根に帆船のように布製の帆をかけて、準備万端となります。
風車番のおじさんは、小麦の詰まった40kgの袋を1階から3階まで担いて上っていきます。風車が回ると3階にある大きな歯車が回転し、これと小さな歯車とを組み合わせることによって、垂直方向の力を水平方向に変えると共に、回転速度を変え、石臼を回し、小麦を挽きます。できあがった小麦粉は、トイを伝わって下まで落ちていきます。
風車番のおじさんは、当然、風が吹かないと仕事がなくなるので、怠け者でいつも呑んだくれていると評判が悪く、小麦を細かい小麦粉に挽くと容積がかなり減るため、小麦粉を少なく渡している印象を受け、泥棒だと呼ばれていました。一方、おかみさんの方は、周囲が畑で働く肌黒の女性ばかりの中、小麦粉のせいで、おしろいを塗ったように顔や腕が真っ白だったため、綺麗だと評判でした。