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acueducto 35 特集「風車の町、コンスエグラ」

Consuegra, pueblo de molinos
森本晃生

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風車 Molinos de viento

ラ・マンチャの象徴とも呼べる三角帽子の白い風車。コンスエグラの風車は19世紀に町人たちの要望に よって建設が始まり、何十年と長い時間をかけて、現在の12基が揃いました。最後まで産業用に活躍していたのは、1955年まで運転していた”Chispas”。現在では観光用に”Sancho”と”Rucio” の2つの風車を運転しています。”Sancho”は10月のサフラン祭りなど、町のお祭りやイベントの時だけ運転されます。”Rucio”は観光向けの風車で、冬季 以外は土日を含む週5日、羽根を回しているところを見ることができます。

コンスエグラの町の南西、12 基の風車が並ぶカルデリコの丘
通常、風車には最初の所有者か最初の風車番(小麦を挽く人)の名前かあだ名が付けられる。コンスエグラの風車は『ドン・キホーテ』にちなんで名付けられたものが多い(”Mambrino”はマンブリーノの兜、”Sancho”は従者サンチョ・パンサ、”Rucio”はサンチョの乗っていたロバの名)。風車”Chispas”(火花)の名前は、この風車の石臼が回転している時に火花がよく飛んでいたことに由来している
“Rucio”は運転日の10〜14時と16〜18時に帆を張って、小麦挽きを実演している

いくつかの風車は現在、店舗や施設として活用されています。たとえば”Rucio”と”Mambrino”の1階はお土産屋、”Bolero”の1階はツーリストオフィスとなっており、それぞれ3階の風車内部の機械を見学できます。”Caballero del Verde Gabán”は風車全体がカフェになっており、1階が売店、2階が厨房、3階が座席。天井から突き出た巨大な歯車を頭上に仰ぎ見ながら、お茶を楽しめるユニークな空間です。

“Caballero del Verde Gabán”の3階
同風車の1階。ここでカフェメニューを注文できる
“Caballero del Verde Gabán” の3階席。写真の料理は鹿肉のハンバーガーとコンスエグラらしくサフラン・ティー
“Rucio”1階のお土産屋。可愛らしい風車グッズがずらりと並んでいる

風車番の仕事と風車の仕組み

コンスエグラの風車の目的は、小麦を挽いて、主食であるパンの材料である小麦粉を作ることです。風車番のおじさんが朝一番にすることは、風向きを調べることです。そのため3階にある小窓を全部開け、それぞれの窓の内側の棚になっているところに小麦をちらばし、2、3分放っておきます。そうすると風によって小麦が吹き飛ばされますので、一番きれいな棚のある窓の方向が、風の吹いてくる方向ということになります。

次に、風車の羽根を風の吹いてくる方向に向けます。実は三角帽子の風車の屋根は、羽根とともに360度回転できるようになっています。風車の後ろに長い棒が付いていますが、これは羽根との重さのバランスを取るものではなく、この棒を回すことによって、屋根全体を回して、羽根を風が吹いてくる方向に向けるという仕掛けになっています。

最後に、骨組みのような4枚の羽根に帆船のように布製の帆をかけて、準備万端となります。

風車番のおじさんは、小麦の詰まった40kgの袋を1階から3階まで担いて上っていきます。風車が回ると3階にある大きな歯車が回転し、これと小さな歯車とを組み合わせることによって、垂直方向の力を水平方向に変えると共に、回転速度を変え、石臼を回し、小麦を挽きます。できあがった小麦粉は、トイを伝わって下まで落ちていきます。

風車番のおじさんは、当然、風が吹かないと仕事がなくなるので、怠け者でいつも呑んだくれていると評判が悪く、小麦を細かい小麦粉に挽くと容積がかなり減るため、小麦粉を少なく渡している印象を受け、泥棒だと呼ばれていました。一方、おかみさんの方は、周囲が畑で働く肌黒の女性ばかりの中、小麦粉のせいで、おしろいを塗ったように顔や腕が真っ白だったため、綺麗だと評判でした。

羽根の回転に連動して、3階の巨大な歯車が回り出す
連結している小さな歯車が石臼を水平方向に回転させ、小麦を挽く
挽かれた小麦粉はトイを伝わって下階の袋へと落ちていく

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