【新刊情報】『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』川成洋 著ほか
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2018年06月14日
マドリードで掲げられた横断幕「ノー・パサラン(奴らを通すな!)」/ Wikipedia
今月、スペイン内戦の重要書がぱる出版より刊行されました:『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』
全5章64篇、800ページ以上におよぶスペイン内戦の巨大な研究書です。内戦80周年を記念して出版されました。
筆頭著者は『acueducto』で「スペイン内戦が生んだ「ロバート・キャパ」」を連載されていた川成洋先生。スペイン内戦に関する書籍・論文を国内でもっとも多く発表されています。先生の記事は『acueducto』のバックナンバーにも多数掲載していますので、歴史に関心をお持ちの方はぜひご一読を。キャパに加え、ゲルダ・タロー、ピカソ、ヘミングウェイ……と内戦に関わった多くの作家、ジャーナリストについて、そして当時の市井の人々の情勢について大変くわしく解説されています。
20世紀スペインの社会、文学、芸術を学びたいなら、内戦の勉強は避けて通れません。この新刊で序文を寄せるイアン・ギブソンは詩人ロルカ研究の第一人者です。もちろん、本著にもロルカに関する論文が掲載されています。スペイン内戦は本土で勃発したスペイン人同胞間の争いですが、国内外のさまざまなイデオロギーが絡み合い、第二次世界大戦の前哨戦ともなりました。世界史的にも、また民主主義を生きる現代の私たちにとっても極めて重要な意味を持つ出来事です。
2017年11月末刊行の『acueducto』第27号では、川成先生による内戦特集記事を掲載しました。内戦で荒廃したスペイン街並みや、奮起する民兵たちの貴重な資料写真もつけ、川成先生の解説文とともに当時の緊迫した状況をうかがい知ることができます。