日本の「PANKO」で作ったクロケッタ
2019年01月31日
スペイン名物「クロケッタ」。現地を訪れたらぜひ食べたい揚げ物料理ですが、このたび2019年1月に開催されたスペイン食の祭典「Madrid Fusión」にて、日本のパン粉を使ったクロケッタが出品され、見事に優勝しました! 最高級生ハム「ホセリート」を使ったクロケッタで腕を競う「El Campeonato Internacional Joselito a la Mejor Croqueta de Jamón del Mundo」。今回で5回目のこのコンテスト、他の出場者を押さえて世界一のクロケッタを生み出したのは、トレドでレストラン「Tobiko」を経営する34歳のシェフJavier Ugidos氏です。
La mejor croqueta del mundo se come en Toledo
El cocinero Javier Ugidos, del restaurante Tobiko, gana la quinta edición del campeonato que se celebra en Madrid Fusión
Ugidos氏は本競技中、パン粉をつけたタネをオリーブオイルでこんがりキツネ色に揚げて、見事に中身がとってもクリーミーなクロケッタを作りました。伝統的に使用されるスペイン産のパン粉ではなく、日本の「panko(パン粉)」をあえてチョイス。私たち日本人にとってパン粉は身近な食材ですが、目下、各国のプロの料理人たちも注目しているものなんだそうです。すでにスペインのスーパーでも日本のパン粉が購入できるくらいの人気ぶり。逆に言えば、スペインの美味しいクロケッタを日本でもパン粉を使って作ることができますね(生ハム「ホセリート」は入手困難ですが)!
日本のパン粉を使用する以外は、クロケッタの伝統的な食材を変わらず使い、入念に、味の開発を続けていたと言います。けれども日本のパン粉はどうしても使用したかったとのこと。まず「Tobiko」というレストランの名前の由来なんですがなんと日本の「飛子(トビウオの卵)」から来ているそうです。そして、そのコンセプトに倣い東洋の食材も積極的に取り入れて(hacer fusión)、Ugidos氏はさらなる美食の道を追求したいのだそうです。
「Madrid Fusión」サイトの記事:
News | madrid fusión
Madrid Fusión Alimentos de España, Gastronomía, Gastronomy
日本の食材がスペイン国内でもますます重要になってきているのを実感する、嬉しいニュースですね! ところで『acueducto』第36号で掲載した中村美和さんの記事「スペインと日本をつなぐ人びと Nº5」でも、昨年12月にマドリードで開催された「セリアック・フェスティバル」の様子をレポートいただきました。こちらはパン粉ではなく日本産の「Komeko 米粉」のプロモーションで、日本からも複数の企業が米粉商品を出品、スペインのフードサービス業者、卸売業者などからも大いに注目を集めました。欧州でも需要が高まっているグルテンフリー食品の中でも、日本産米粉は特に重要となりそうです。
余談ですが今年のMadrid Fusiónは、天才シェフ、フェラン・アドリアが7年ぶりに姿を現したことでも話題となりました。2011年にレストラン「エル・ブジ」を閉店したフェランは現在、自らの料理哲学を集大成させたラボ「LABulligrafia」を準備中、2020年にオープン予定。さらにレストランも「エル・ブジ1846」という名で再始動予定であるとか。ただ、以前にフェランは「どんなに資金があってもレストランはもう開かない」というコメントを残している(こちらを参照)ことから、単に過去の「エル・ブジ」の再生という訳ではないのだと思います。進化していくスペイン料理界、まだまだ目が離せませんね。