神戸の「プラド美術館展」へ行ってきました

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 お天気に恵まれた8月26日(日)、スペイン語教室ADELANTE主催の「ADELANTEの仲間と行こう! プラド美術館展」へ行ってきました。もちろん『acueducto』編集部一同も参加! イベントには、普段からスペイン語教室に通っている方、『acueducto』の読者の方、過去に記事を執筆いただいた先生方、そのほか一般の方も参加されました。

 まずはお昼の12時に三ノ宮のADELANTE神戸校に集合し、メノルカ島出身の講師マルタ先生によるプラド美術館の概要と、主要な画家に関する講義を聞きました。講義はスペイン語で行われましたが、日本語訳をつけたレジュメも用意され、参加者の皆さんも熱心に聞き入っていました。マルタ先生は今回の展覧会に出品される作品のほか、各々の画家の経歴、特徴、画風、受けた影響など詳しく解説し、展覧会をより一層楽しめる知識を得られたかと思います。講義後にはスペイン語で質問が飛び交っていました!

 講義で特に皆さんから好評だったのはムリーリョの《小鳥のいる聖家族》(1650年頃)。

Sagrada Familia del pajaritoMURILLO, BARTOLOMÉ ESTEBAN
©Museo Nacional del Prado

 登場人物それぞれの柔らかい表情と仕草が、鑑賞者の気持ちも温かくしてくれる絵ですね。幼いイエス・キリストを囲んだ聖家族(Sagrada Familia)の絵ですが、ここで描かれた家族の安らぎのひとときは、私たちの日常生活でも育み、感じることのできる身近なもの。マルタ先生の解説では、ムリーリョの絵は「Pinta escenas religiosas llenas de ternura y mezcla la idealización de los personajes con elementos realistas y cotidianos 宗教色が濃い作品ながら優しさに満ち溢れ、登場人物のありのままを描写しています」。もちろんこの作品も今回の展覧会でお目にかかれます!

 さて展覧会では注目作品のベラスケスの傑作7点をじっくり鑑賞できたほか、ティツィアーノやルーベンスら17世紀スペイン絵画に影響を与えた画家の作品、スルバランやホセ・デ・リベラなどスペイン本国の画家たちの作品など……「絵画の黄金時代」の多彩な作品群を楽しむことができました!

 中でも個人的に面白かった作品は、ちょっと本展の本流から逸れるかもですが、宮廷画家ファン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソの1640年頃の作品《アランフエスでの狩猟上覧》。当時、狩猟は戦争の象徴でもあり、国王の政治手腕にもなぞらえて理解されていました。16世紀に狩猟休息塔(トーレ・デ・ラ・パラーダ)が建設され、そこにも一連の絵画が飾られていたことからも、当時の狩猟の重要性が伺えます。本展で出品されているベラスケスの《狩猟服姿のフェリペ4世》もこの塔に飾られていたものでしたね。そのフェリペ4世ですが、このマーソの作品でも描かれています。中央の白馬の左隣に立つ黒い羽根付帽子を被った人物がそうです。

Cacería del tabladillo en Aranjuez, DEL MAZO, JUAN BAUTISTA
©Museo Nacional del Prado

そんな歴史資料としても重要な絵画ですが、右下に注目してみると……

馬車の真下で座る人物。
なんと同展で出品されているベラスケスの《メニッポス》が描き込まれていました。

Menipo, VELÁZQUEZ, DIEGO RODRÍGUEZ DE SILVA Y
©Museo Nacional del Prado

オリジナルの《メニッポス》は馬車の下のメニッポスが現れた《アランフエスでの狩猟上覧》より少し前に制作されているようです。実はこの狩猟の情景を描いたマーソは、ベラスケスの一番弟子であり、彼の娘と結婚、師匠の死後にはその地位(主席宮廷画家)を引き継いでいます。彼の作品では、宮廷で暮らすベラスケス一家を描いた《画家の家族》が特に有名です(こちらは《ラス・メニーナス》を彷彿とさせる絵です)。師弟であり家族でもあったベラスケスとマーソの絆は大変深かったかと思いますが、弟子の絵の中に師匠の描いた人物がひょっこり顔を出しているのを発見して、思わず顔が綻んでしまいました。こうした画家の遊びというのも見つけると面白いんですよね〜。

というわけでスペイン美術を大いに堪能できた日となりました!

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