Instituto Cervantes Tokioで開催中「日本の新聞に見るスペイン内戦」
2019年12月16日
『acueducto』も配布しているインスティトゥト・セルバンテス東京(千代田区)では現在、スペイン内戦に関連した展覧会「日本の新聞に見るスペイン内戦」が開催されています。会期は12月6日(金)から今週の20日(金)まで。5日(木)には川成洋先生、作家の逢坂剛氏、スペインのフロレンティーノ・ロダオ教授、南山大学名誉教授で日本スペイン協会理事長の木下登先生、インスティトゥト・セルバンテスのビクトル・ウガルテ東京館長ら5名による座談会が行われました。法政大学名誉教授、川成先生のスペイン内戦をめぐる記事は、『acueducto』読者もすでにご存知の方が多いかと思います。弊誌でも2016年の特集「スペイン内戦とは何だったのか」をはじめ、本テーマに関する多くの記事をお寄せいただいています。
左から、木下登(日本スペイン協会理事長、インスティトゥト・セルバンテス アカデミックフォーラム“カテドラ”名誉顧問、南山大学名誉教授)、川成洋、ビクトル・ウガルテ(インスティトゥト・セルバンテス東京館長)、フロレンティーノ・ロダオ、逢坂剛(敬称略)。©︎Instituto Cervantes de TOKIO
さて、5日の貴重な座談会には残念ながら『acueducto』スタッフは参加できなかったのですが、出席された方によると、会場はほぼ満席。そして多くの在日スペイン人も本展覧会のために来ていたそうです。実は、ここで配布された無料のペーパー「日本の新聞に見るスペイン内戦」が、非常によくできているのです。まず本展覧会コンセプトに呼応した新聞型資料だったのでそれにびっくり! そして詳らかに、「スペイン内戦勃発時、日本の当時のメディアがいかにこれを報道したか?」を検証・解説しています。さらに全ての情報が対訳で掲載されているので、スペイン人にとってもスペインについて勉強している日本人にとっても、これは貴重な資料。後日、会場を訪れたスタッフも入手できました。この資料は現在もインスティトゥト・セルバンテス東京で配布中なので、20日までの残りの数日、皆さんにも足を運んで手にとっていただければと思います。
©︎Instituto Cervantes de TOKIO
本資料の中には川成先生の論考が2本掲載されています。中でも余白を余すことなく書き込まれている「スペイン内戦と日本人」は読めば、当時の日本のメディア(『東京朝日新聞』や『東京日日新聞』など)が、スペインという彼方の地で起きた内戦をいかなる立場で報道したか、そしてその立場はやがてどう傾倒していくのか、を追っていくことができます。特に、1937年4月26日に起きた「ゲルニカ爆撃」事件の日本の新聞紙上での取り扱いについては、心に迫るものがありました。今でこそ80年前の悲劇、スペイン内戦について解説した資料は日本語でも多くあり、内戦を制したフランコ将軍は独裁者として認知されていますが、戦前〜戦時中の軍国主義の空気に飲まれていく当時の日本人たちは、私たちが見ているのとは別様にこの出来事を捉えていたはずです。
会場に展示されている新聞資料は、配布ペーパーの中にも収録されています。
日本でスペイン内戦の研究が本格化したのは1970年代半ば以降からとのこと。今年10月にはフランコの遺体が「戦没者の谷」から別の墓地に移されました。内戦は、スペインを深く知りたい人は不可避的に接するテーマ。今を生きるスペイン人も、その親世代や祖父母の世代が内戦を経験しています。東京在住の方、この資料を手にできる貴重な機会にぜひセルバンテスへ!
Información
「日本の新聞に見るスペイン内戦」
◼️日時:2019年12月6日から2019年12月20日まで
◼️開館時間:月曜-土曜10:00~20:00、日曜10:00~12:30
◼️会場:インスティトゥト・セルバンテス東京(東京都千代田区六番町2-9)