フェラン・アドリアの料理研究ラボ「LABulligrafía」

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LABulligrafía: el archivo-museo con el que Ferran Adrià espera unos ingresos de 20 millones al año

Por poco, le pillamos a sus 7 años recién cumplidos: el 30 de julio de 2018, será el séptimo aniversario del cierre de elBulli como restaurante….

 レストランとしてのエル・ブジは閉店して久しいですが、渡辺万里先生監修の『acueducto』第33号特集「エル・ブジのもたらしたもの」をお読みになった方はお分かりの通り、料理界に革命をもたらしたフェラン・アドリアは自らの創作の全てを大胆にも情報公開し、次世代の料理人たちに絶大な影響をもたらしました。

 そのフェランの最近の動向を伝える興味深い記事が先日「Expansión」に掲載されました。それによるならば彼は現在、バルセロナに「LABulligrafía(ラブジグラフィア)」なる料理研究ラボを立ち上げているとのこと。フェラン本人によるとそこは将来的な「el archivo-museo de elBulli(エル・ブジ資料館・博物館)」の原型ともなるそう。これまでに蓄積してきた貴重な資料やレシピを整えるための重要地となりそうです。この記事ではフェランのアイデアを探る貴重なインタビューが掲載されています。長いので、抜粋した部分を翻訳してご紹介。スペイン語が読める方は、ぜひ元記事もご覧ください。最後に極めて独創的な創作の例を見ることができます!


記者:

今から7年前、あなたはレストランとしての「エル・ブジ」を閉め、料理研究機関「エル・ブジ・ファンデーション」を創設しました。その拠点を一時ここ、「エル・ブジ・ラボ」に置いていましたが、現在は「ラブジグラフィア」と改名しましたね。その進化がどういうことなのかご説明いただけますか。

フェラン:

2011年1月のマドリード・フュージョンのプロジェクトに参加した時、私たちは次のように説明した。もともと、カラ・モンジョイの地にあったレストランを「エル・ブジ・ファンデーション」と名付けることに決めていたと。大きな調理場だが、20人のチームで小さな作品を創り出すという構想に基づいていた。その目的は、料理の中で創造する(crear en cocina)ことだった。

記者:

しかし後にそれは変わった。何が起きたのですか?

フェラン:

2012年1月にバルセロナのパラウ・ロベールで「エル・ブジ」の展覧会を開いたんだが、9月には訪問者がなんと80万人にもなっていた。これが発火点となった、2014年1月にニューヨークで開催されたドローイングセンターでの素描展と併せてね。「エル・ブジ」周辺の展覧会というテーマが、利益をもたらすことに気づいたのさ。並行して、サザビーズでのワイン競売会──いくつかの品や資料も添えた──が実現した。「エル・ブジ」関連の資料のうち、あるものは8,000ユーロで落札された。展覧会は私たちに利益を、競売は私たちに価値をもたらしてくれた。「エル・ブジ」の物理的で知的なノウ・ハウは、確かに実在していて、それは遺産となるべきだ。過去に使ってきたものが、集合して、まとまったひとつの記録(archivo)となっていた。モンジョイでのプロジェクトをやめると同時に、もっと大きなプロジェクトをやろうと決意した。そしてそれが「ラブジグラフィア」の基盤になっている。

記者:

「ラブジグラフィア」とは何か、ご説明いただけますか。

フェラン:

資料館、兼、博物館。あるひとつのアイデアから出発している。つまり創作的過程から出てきた結果を展示するのではなく、その結果はどこからやってきたのか、そして舞台裏はいかなるものなのかを見せる展示会だ。

〔中略〕

記者:

組織の合言葉として、あなたは「独創的かつ改革をもたらす会計検査官 auditoría creativa y de innovación」という言葉を用いていますね。明確にご説明していただけますか。

フェラン:

つまり、それは君自身の会計検査をして、君自身を制御するのを助けるツールのことだよ。果たして君は能率的に振る舞えていたのか。生じた結果や、毎月、毎季、毎年……と試していく手段の中で、 効果的なことができたのか……を見定めるためのね。ある時期には「進化の分析 análisis evolutivo」と呼んでいたものだが、今はコマーシャル向けの名前が付いていて、それが独創的な会計検査官さ。どんな組織にも適用できる一般的なものだよ。

記者:

また「サピエンス」についても話していますね。ご説明を。

フェラン:

それはここで創った原理体系で、どんな事業であれ、それを理解するのを助ける。オンライン資料は「サピエンス」から出発している。

〔中略〕

記者:

「ラブジグラフィア」はあなたのレストランではないと仰いました。あなた自身のレストランを持つことに未練はありませんか?

フェラン:

どんなに資金があっても、私はもう、絶対にレストランは開かないだろう。その事業に参入することは私にとって後退を意味する。料理をしたくてたまらないのではないか、と聞かれた時、私はこう答える。幸運にも私には8つものレストランを開店した兄弟がいて、そこで5年間で500回も食事をした、とね。夢みたいだよ。彼のレストランは、そこに行くとまるで自分の店のように思える場所なんだ。そこでこの7年間、多くのことを学んだよ。

〔中略〕

記者:

2011年6月30日(=レストランの閉店日)からのことを統括していただけますか。

フェラン:

「エル・ブジ」で私たちがやってきたことで、最も重要だったのは考えさせる(hacer pensar)ことだった。成長していくモンジョイの地で、私の考えは落ち着き、その後で、「LABullipedia(ラブジペディア)」を作るという着想に至った。私たちは身を粉にして、狂ったみたいになって取り組んだ。それでも私たちは、愉快に過ごすことができた。かつて、「エル・ブジ・ファンデーション」は1台のフェラーリだった。今、それは1機のボーイング、15mの1艇のヨットだ。ニューヨークタイムズの表紙を飾った時と同じ感覚を今、私は持っている。私たちの全てが変わった。私たちのプロジェクトはだんだん大きくなっていく……2月がその時だと計算している。そして、2021-2022年、ファンデーションの目的は、最高潮に達するだろう。


 というわけで、これからますます注目されていくであろうフェランたちのプロジェクト。大きくなっていくラボで彼らが何を見せてくれるのか……思索行為として、料理という概念そのものが見つめ直されるかもしれません。

 公式サイト「エル・ブジ・ファンデーション」をまだ見ていない人はぜひ見てください。びっくりします。

 https://elbullifoundation.com/

 

 「ラストワルツ」(2011)©︎elBulliArxiu / F.Guillamet

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