シエスタは良い?悪い?

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シエスタ。スペインといえば、シエスタ
ランチの後のゆるやかな午睡。目が覚めたら頭も爽快、午後の仕事にも精が出る!

羨ましいこと山の如しですが、実際のところ現代スペイン社会は生産性を高めるため、大都会ほどシエスタを廃止しています。「シエスタ? 寝てないよ。昔の話だよ!」という忙しいスペイン人がほとんど(「でも、週末はいっぱいシエスタするけどね!」)。もはやごく限られた地方にのみ残る習慣といえるかもしれません。じゃあシエスタは、正直なところ過去の遺産? 無理に残すほどのご利益はない? どうなのでしょうか。スペインのメディア『elPeriódico』「PORT」が報じた記事を要約して紹介します。シエスタ好きも嫌いもシエスタについて勉強しましょう!

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●シエスタの語源

古代ローマでは午後2時から午後4時の時間帯は「hora sexta(第6の時間)」と呼ばれていました。ちょうど昼食後に当たるこの時間に、少しばかりの休憩を取ることがこの当時から習慣化されていました。この「hora sexta」こそが「siesta」の語源です。

●フランス知識人のシエスタ発見

スペインのシエスタの習慣が諸外国に知られるようになったのは17世紀になってから。発見当時、この午睡文化は隣国フランスの知識人たちに衝撃を与えたようです。19世紀のフランスの女性作家ジョルジュ・サンドは、旅先のマヨルカ島で、太陽がキラキラ輝く真昼間から住人が眠りこけているのを目撃して呆れ返ったとのこと。一方で時代を少し遡り、18世紀の啓蒙思想家として知れるヴォルテールは、シエスタについて時流に逆らいながらも潜在的には巧みで健康的な習慣であると評価。そして近年の科学的視点でも、1日の労働時間を前半・後半と分けるシエスタは健康に良いとして肯定的に評価されています。

●シエスタの実践者たち

古代ローマから続くこのシエスタ習慣は、先述のヴォルテールを含めスペイン国内外の歴代の偉人たちも高く評価。古くは古代ギリシアの数学者・科学者アルキメデス、果てはノーベル文学賞を受賞した20世紀のガリシアの文学者カミーロ・ホセ・セラまで。この作家は、シエスタを「イベリア半島のヨガ」と定義。他にも、偉大なる発明家(エジソンやアインシュタイン)や作曲家(ブラームス)らがシエスタを活用。さらに画家ダリも、数分間の休憩後により優れた絵画が描ける、と証言していました。引用元の記事ではさらに偉人たちの名が連ねられています。ニュートン、サッチャー、チャーチル、ナポレオン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ケネディ……etc. 

●実際、科学的にはどうなの?

記事の伝えるところによるなら、私たちの脳は、日中の活動時間内でひっきりなしに受け取る情報を、解析し、処理し、それに基づいて行動を決定しています。そんな脳が回復するのはもっぱら夜寝ている時。加えて「バイオリズム」と呼ばれる生体リズムにより、午前2時から4時の間と午後2時から4時の間、私たちの身体の活動レベルは最も低くなります。午後の時間は、ちょうどお昼のランチを食べて休憩を取る時間に該当します。バイオリズムに従い、自動的に身体もお休みモードに入るというわけですね。だからシエスタは理にかなっているように思えます!

●日本やアメリカでも導入

シエスタをすると「精神がスッキリする!」「ストレスが軽減される!」「老化を予防する!」「ガン発生率を低くする!」「学習効率がアップする!」etc. と、心身に実にさまざまな恩恵を与えてくれるそうです。確かに脳に負荷がかかる仕事中に一寝入りすると、ある程度ストレスが軽減されることでしょう。こうした恩恵を受けるため、シエスタ文化のない外国(特に日本やアメリカ)でもこれを導入する企業が現れました。代表はGoogle。そして日本でもシエスタを導入した企業や学校があります(数年前にニュースになっていましたね!)さらにヨーロッパでは意外にもドイツがシエスタを実践している国として挙げられました。なんと国全体の1/4もの企業が定期的なシエスタを導入しているそうです。

●シエスタの理想的な時間

良いこと尽くめのシエスタですが、もちろん、考えなしに午後2時から4時までぶっ通しで寝れば良いというものではありません。ちゃんと適正な時間があります。理想とされているのは5分〜20分。この時間内でさらに適正な時間は、個人差がありますが一般的には15分〜20分が良いとされています。それ以上寝てしまうとレム睡眠の段階に入ってしまい、かえって目覚めるのが難しくなってしまうのです。その状態から起きるとむしろ気分が悪くなったり体調を崩したりする原因になります。時間だけでなく、シエスタは環境も大切。落ち着いて、心身ともにリラックスできる場所で眠るのが大切です。中には環境に左右されずどこでも眠れる人がいますが、彼らは特別です。

●シエスタをしてはいけない人

睡眠障害のある人はシエスタをしてはいけません。彼らは慢性疲労状態で、食後の午睡によりさらに疲労が悪化する可能性があります。睡眠不足に陥っている場合は、昼の短時間に寝るのではなく夜にたっぷりと寝る必要があります。それから、早番・遅番の交代シフト制で働いている人にとっても、シエスタはむしろ労働リズムを崩すのでお勧めできません。

 

以上、シエスタの知識でした。スペインの現代っ子にとっては実はもう身近でなくなっているシエスタですが……自由にできる午後のお昼休憩があったら、あなたはシエスタをしたいですか? お昼にちょっと眠ることは幸せなことである一方、それが毎日の義務となると、かえって煩わしくなる人もいるでしょう。特に現代人は、やることが多すぎてシエスタなんてしている暇ない! というのがスペインでも日本でも正直な実情でしょうね。ただ、シエスタの適正時間自体は15分程度と短いので、ちゃんと導入すると脳のリフレッシュになり、夕方以降の作業アップに繋がるでしょう。実践する際はアラームを必ずセットしてくださいね。鳥の鳴き声のアラームが爽やかでお勧めです。

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