スペイン人のシャワー時間

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「スペインではシャワー時間が短い」という話を聞いたことがあると思います。15分……さらに短い家庭では10分! というところも。各家庭の貯水タンクのキャパシティや、年によって変動する水不足の問題があるので、どうしても日本のお風呂文化のように安定して浴槽にゆっくり浸かるというわけにはなかなかいきません。ホームステイ先でも、その家で決められているシャワー時間が何分間なのかは、事前に必ず確認しておいた方が良い点のひとつです。使いすぎるとお湯が出なくなって後からシャワーを浴びる人が困るなんてトラブルも。シャワーに対する意識は日本の一般家庭とは大きく異なると認識しておいた方が良いでしょう。

さて、先日『El País』誌「ICON」WEBで、「スペイン人は10分間のシャワーで100ℓ近くの水を消費し、これは浪費だと専門家は指摘」という記事が出ました。調査結果は、マドリード水道事業会社「Canal de Isabel II」が発表したもの。そしてこの会社の担当者は「この量は多すぎる。理想的なのは、10分間のシャワーで45ℓ。対策として体を洗っている時にはシャワーを止めて出しっ放しを防ぐべき。あるいは、シャワーで使った水を浴槽にためて置いて、水やりや皿洗いなどで再利用すべき。さらに、効率的な蛇口(節水シャワーヘッドなど)を使うことで50%まで節水が可能」とコメント。日本でもシャワー10分間出しっ放しにしたら、普通に100ℓを超える水が流れるので、もし普段からシャワーをじゃんじゃん浴びる人がいたらこの調査会社の節水基準はかなり厳しいと感じるかもしれませんね。

¿Cuánto tiempo exacto debe durar tu ducha diaria?

Como cuenta David Trueba en Tierra de campos (Anagrama, 2017), “la ducha es un lugar de inspiración caro y antiecológico”. Un método para ordenar las ideas como la consulta con la almohada, pero mucho más nocivo para el medioambiente.

さらに「シャワー時間をもっと短くすべきだ」という声も。同記事内で皮膚病学者のオリビア・ロペス=バランテス氏は「小旅行やジムの後でも、5分間のシャワーを浴びるだけで体は清潔になる」と主張。つまり10分間もシャワーを浴びる必要はない、と述べています。5分間シャワーの効能を高めるためには「無香料、刺激の少ないシャンプーやボディーソープ、保湿効果の高いクリーム」を使用した方が良いとアドバイス。

ところで、この記事がTwitterで流れた時、さすがに「5分間シャワー!?10分でも使いすぎ!?」と驚いたのか、大勢のスペイン人たちから反応があり、色々なコメントを残してます。「それなら、いっそシャワーをしない方が良い」とか「毎日シャワーを浴びるのは悪なのか……」とか「すでにコップ一杯で体を洗う生活を始めています」とか……。多くは、専門家が発表した節水基準に猜疑的。スペイン人でもやっぱり、できることならシャワーは十分な時間をとって浴びたい、のが本音ではないでしょうか。

もちろん水不足やその家でシャワーを利用する人数が多いなどの諸々の理由で、場合によっては5分間シャワーで済ませなければいけないこともあるでしょう。でも、お風呂大国の日本でもシャワーと節水の意識は他人事ではないように思えます。災害の多い私たちの国で、急にお風呂が入れなくなる、節水しなくてはいけなくなることがあるかもしれないからです。有事でなくても、例えばアウトドアで山の中で宿泊する時なども、普通にお風呂に入れない連日が続いたりします。海外で長く暮らすと水への意識が大きく変わりますが、水が貴重な資源であるという事実は全世界どこでも変わりません。

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