反戦を訴えた哲学者ウナムーノ / 映画『Mientras Dure La Guerra』
2019年06月14日
スペイン・ビルバオ出身の哲学者、ミゲル・デ・ウナムーノ(Miguel de Unamuno)をご存知でしょうか。知識人グループ「98年世代」の筆頭で、オルテガ・イ・ガセット(おそらくスペインの思想家の中でもっとも有名なのは彼でしょう)とも交流をしその思想に影響を与え、スペイン最古の大学・サラマンカ大学の総長を務めたことでも知られています。昨年2018年には同大学の創立800周年を記念して、日本でもウナムーノに関連する和書が出版されています。
■佐々木孝 著, 執行草舟 監修
■法政大学出版局
■2018年1月刊
■執行草舟 監修, 編集 安倍三﨑 翻訳
■法政大学出版局
■2018年4月刊
ウナムーノは、『死に至る病』で知られるキルケゴールの実存主義哲学から深く影響を受けています。ウナムーノもまた、自らの死の恐怖、あるいは最愛の子どもの死の現実を目の当たりにして、自己とは何者か、死の絶望の淵に立たされた人間とは何者か、を問いていきます。バスク生まれですが、スペイン人の民族性についても深く熟考し、セルバンテスの古典の主役とその僕、ドン・キホーテとサンチョ・パンサのキャラクター像にスペイン人の生のあり方を見出そうとします。代表作に『生の悲劇的感情』や『ドン・キホーテとサンチョの生涯』などがありますが、上で紹介している昨年出たばかりの『情熱の哲学』が非常に良い入門書として挙げられます。
ところで、そのウナムーノにスポットライトを当てた映画が、今秋にスペインで公開されます。映画の題はMientras Dure La Guerra(戦争が続く限り)。監督は名作『海を飛ぶ夢』(2004年)を撮ったアレハンドロ・アメナーバル。昨日、その映画の予告が初めて公開されました。